楽天がKDDIと提携「打倒Amazon」なるのか?社員のホンネは…
KDDIと楽天、それぞれの歩み
ところでKDDIと楽天は、どんな会社なのでしょうか? 企業が公開する情報を見てみましょう。
KDDIは2000年に、KDD(ケイディディ株式会社)、DDI(第二電電株式会社)、IDO(日本移動通信株式会社)が合併し発足されました。そしてその翌年に「KDDI株式会社」という社名となり、現在に至ります。
KDDIの単独従業員数は1万1272人(平均年齢42.4歳、平均年収936万円)と公表されています(Yahoo!ファイナンス)。
一方楽天は、1997年に株式会社エム・ディー・エム(現・楽天株式会社)として設立され、同年にインターネット・ショッピングモール「楽天市場」のサービスが誕生しました。
そして現在、楽天の単独従業員数は5831人(平均年齢34.0歳、平均年収707万円)と公表されています(Yahoo!ファイナンス)。
楽天の従業員の年齢は比較的若い印象ですが、KDDIはやや平均年齢が高いことがわかります。
また、国税庁が発表している平成29年度版の民間給与実態統計調査によると、サラリーマンの平均年収は約432万円。どちらの会社も年収はかなり高い会社といえるのではないでしょうか。
両社の社員が見据えていた、自社の懸念点とは
さてそんなKDDIや楽天の社員は、自社に対してどんな懸念点を持っているのでしょうか?
年間2000万人が訪れる企業の口コミ・給与明細サイト「キャリコネ」ユーザーの情報から、社員のリアルな声をまとめました。
まず、KDDIで働く社員の口コミでは……。
「3キャリアの同質化が進んでいることと国内市場の縮小化が進んでいるので、将来的な成長は見込めない。主力の携帯事業が頭打ちなので、増えすぎた従業員を減らすか、給料カットをするかしないと生き残っていくことはできないと思う。頼みの金融部門の伸び率だと携帯事業の縮小をカバーできるとは思えない」(代理店営業・20代前半男性・正社員・2015年度)
「docomoはもともと国策会社ということもあり、内需が厚いです。国際系統が強いのがわが社。顧客を奪いあうことはそこまで激しいわけではないですが、意識はしているでしょう。寡占市場でしたが、MVNOが台頭してきた背景があり、新しい市場で戦うことになりそうです」(代理店営業・20代前半男性・正社員・新卒入社・3年未満 (投稿時に在職)・2017年度)
やはりKDDI内では、MVNOの台頭は重要な課題としてあったのでしょう。一社員ではありながらも会社や業界の将来をしっかりと見据える姿勢は見習いたいですね。
一方で、楽天で働く社員の口コミではAmazonを意識した口コミがいくつか見受けられました。
「Amazonとはビジネスモデルが違う。出品者側の選択肢が多くなって、料率の高い楽天はこれから1店舗当たりの売上は横ばいになってくるはず。大企業の出店により、持ちこたえているというのが現状。この先は出店料の値引き等、出店者側へのサービス拡充が必須と考えられる」(マーケティング・30代後半男性・正社員・2016年度)
「とにかく『Beat Amazon』と銘打ち、特にネットショッピング、その他amazonプライムに適応する事業、サービスを意識している状況ではある。とはいえ、定額課金制のサービスはうまくいかない企業であるため、Beatの道のりはなかなか険しい状況であり、一方、Amazonもどんどん先に行っているのでアプローチの相違を検討する必要がある」(経営企画・20代前半男性・正社員・2015年度)
今回の業務提携で、社員の方々の懸念を払拭していくことができるのでしょうか? 今後の両社の動向に目が離せません。
<TEXT/中西トモナオ データ/キャリコネ(運営:グローバルウェイ)>