楽天がKDDIと提携「打倒Amazon」なるのか?社員のホンネは…
11月1日、KDDI株式会社(以下、KDDI)と、楽天株式会社(以下、楽天)が業務提携することがが発表されました。
今回の提携を期に、楽天はKDDIのネットワークを借り、国内の大手3キャリア(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク)に次ぐ「第4のキャリア」としてサービスを提供することになります。
いったいどんな経緯があり、両社が提携したのでしょうか?
今回は提携までの経緯を解説し、さらに両社で働く社員の自社に対するリアルな本音をまとめてご紹介します。
きっかけは菅官房長官の“あの発言”
両社が提携に至ったのには経緯があります。
ことの発端は、今年の8月21日。菅義偉官房長官の札幌市内講演での発言でした。
菅官房長官は、日本の大手キャリア3社には競争が働いていないと指摘し、さらに「携帯電話の料金は今より4割程度下げる余地があるのではないか」と指摘したのです。
これまでに政府は、大手キャリア3社に競争を起こさせるために、リーズナブルな値段でサービスを提供できるキャリア「MVNO」を促進してきました。
「MVNO」とは、他者から携帯電話回線などの無線通信インフラを借り受け、独自のサービスを加えてリーズナブルな料金で提供する事業者のことです。
そして楽天も、「MVNO」市場を開拓してきた企業の一つです。つまり楽天は、大手3キャリアの料金を下げるための「刺客」として3社の間に参入してきた、と言えるのです。
しかしなぜ、競合となるはずのKDDIと、楽天が業務提携をしたのでしょうか?
業務提携による両社のメリットとは?
まず、業務提携による楽天側のメリットを考えてみましょう。
楽天は全国にネットワーク網を持っていません。KDDIと提携することで、ネットワークを借りることができ、そのネットワークでサービスを売り出すことができます。いわゆる「ローミング」と呼ばれる仕組みです。
しかしこれだけでは、楽天が一方的に有利すぎると感じますが、KDDI側にとっても、提携によるメリットはもちろんあります。
それは、ネット通販事業において、楽天の力を借りられるようになることです。KDDIは、通信サービス以外にも、「Wowma!(ワウマ)」というネット通販事業を展開しています。しかし、そのサービスの知名度は、Amazonなどと比べるとまだまだ低いと言えます。
そこでKDDIは、9870万人の会員を持つ楽天とタッグを組んで決済・物流プラットフォームを強化し、大手競合と張り合っていく戦略を立てたのです。
菅官房長官が言うような「4割の値下げ」が実現するのであれば、KDDIなどの3大キャリアの売り上げはその分下がることが懸念されます。
そこで今後は、ネット通販などの「通信サービス以外での売り上げ」が肝となってくるのです。