「9割の議員は将棋の駒のように秘書を使う」元秘書が語る過酷な体験
議員秘書を15年間続けられた理由
前述したとおり、議員秘書はいつ失職するか予測できない職業です。
そのため、「それでもなんとかなる」という処理可能感が高くないと務まりません。Aさんの場合は、「これだけは誰にも負けない」という自負と、これまでの経験に裏打ちされた能力を、自らの処理可能感の高さの根拠としていることがわかります。
そして、想定外の事態が続き、ストレスだらけの議員秘書を15年以上も続けられたのは、何が一番大きなモチベーションになっていたのかと質問したところ、「自分の専門知識や働きが、誰かのために役に立っていること」という回答でした。これは、「利他」的な活動を通じて、日々の営みにやりがいや生きる意味を感じられるという「有意味感」の高さがうかがえる内容といえます。
Aさんは、こうした首尾一貫感覚の高さでもってストレスを乗り越え、着々とキャリアを積み上げているといえます。
<TEXT/舟木彩乃 構成/井野祐真>