消費税増税でコンビニが「イートインスペース」をやめる理由
「軽減税率制度」導入でコンビニ飲食禁止?
今回の消費税増税にともない「軽減税率」が適用されることで、酒類を除く食料品などの生活必需品は消費税を8%に据え置きにすると予定されています。しかし、全く同じ食料品でも「外食」や「ケータリング・出張料理など」の場合は、軽減税率は適用されないと言われています。
特に「外食」について、政府は「(1)テーブル、いす、カウンター等の飲食に用いられる設備のある場所で行う、(2)飲食料品を飲食させるサービス」と定義し、軽減税率適用の食料品と区別しています。例えば、牛丼屋やハンバーガー店において、「店内飲食」する場合は「外食」にあたり軽減税率の適用外になり、「テイクアウト」する場合は「外食」にあたらず、軽減税率の適用対象となります。
コンビニエンスストアなどのイートインスペースにおいて、「店内飲食」する場合もまた同様に、軽減税率の適用外となります。しかし、店内で飲食するかそうでないかが購入者の自己申告に依存し、レジでの対応も難しいため、この問題をめぐって議論がなされています。
そして、コンビニ業界はイートインスペースを「休憩施設」と位置づけ、「飲食禁止」を明示することで、全ての商品を軽減税率の適用対象品とする方向で政府と調整中とのことです。これにより、今後“コンビニ店内飲食禁止”となる可能性も高まっています(参照:産経新聞 10/3)。
また、自動車では「環境性能割の免除」、住宅では「住宅ローン減税の拡充」、中小企業向けにクレジットカードやQRコード決済で「ポイント還元」といった対策案もあります。これらは政府がまとめて、年内に一連の方策を打ち出す予定です。
懸念される経済悪化と景気対策
内閣府発表の「平成27年度経済財政白書」によれば、2014年の消費税率5%から8%への引き上げ後、「駆け込み需要の反動減」と、「価格上昇による実質所得の減少による効果」によるGDP減などの経済的影響が指摘されています。今回の増税でも、一部からは、経済悪化を懸念する声が上がっています。
そのため、これらの反省を踏まえ、政府側は、景気対策の柱のひとつとして軽減税率のほか、「キャッシュレス決済をした消費者に増税分の2%をポイント還元する」という新たな制度の導入を表明しています。
これらの新体制導入について、安倍内閣は「リーマン・ショックのようなものがない限り(税率は)引き上げる」と述べています。来年10月へ向けてしばらく混乱が続くかもしれません。国民の不安が少しでも払拭され、上手く適応していけるような制度が整うことを願います。
<TEXT/上山ヨーコ>