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「この娘達を全部売る!」アラフィフ漫画家が目撃した、蒸発した父の背中<漫画>

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父の死をきっかけに再デビュー

──精神的に追い込まれたその状況で、なにをきっかけに『ココ・ロングバケーション』を描くことになるのですか?

近藤:なにかのめぐり合わせかなと思ったのですが、妻が「なにもすることがないなら」って、漫画を描けるタブレットを買ってくれたんです。そのタイミングで、ちょうど親父も亡くなったので、「じゃあ、親父のことでも描いてみるか」って。

──確かに、なにかめぐり合わせのように感じますよね。ご家族について描くことに迷いはなかったのですか?

近藤:そもそも、まわりの人たちにフィリピンでの出来事や親父のことを話すと、「そのことを描きなよ」って何度も言われてきたので、満を持してっていう思いもありました。それに、パチンコ漫画を描いている時代から、ぼくや家族のことまで、何でも描いてきましたからね(笑)。だから、迷いはなく。

エピソードは「全部事実」

ココ・ロングバケーション

歌やダンスといった、「フィリピンパブで必要なスキル」を身につけさせていた ©近藤令/講談社

──最初は、『ユウは何を見たか』というショート漫画でした。講談社が運営する漫画投稿サイト「DAYS NEO」に投稿された作品ですね?

近藤:そうですね。最初は4コマ漫画をここに投稿したら、今の編集の方がお声がけをしてくださって、モーニング・ショート漫画大賞に出しましょうと。それでまた、編集の方とやり取りをしながら『ユウは何を見たか』を仕上げていったという感じです。

──こちらの作品は、「矢部太郎賞」を獲得されました。

近藤:この受賞後に連載が決まって、『ココ・ロングバケーション』という作品になっていくんです。まさか、50歳手前で再デビューができるなんて夢にも思っていませんでした。時代も変わって、編集の方が作者の年齢とは関係なく、ちゃんと作品と付き合ってくださったからこそ、連載や単行本化まで果たせたのだと思います。

ココ・ロングバケーション(1)

ココ・ロングバケーション(1)

時はバブル全盛期。主人公のユウは、10年前に家出した父と会うことを決意する。指定された場所はフィリピン!? 90%実話な、ディープすぎるフィリピン紀行が開幕──

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