“NASAの計画”に抜擢!月面探査車ベンチャー社長が語る「100年後の地球」
課題は充電とメンテナンス
――現在見えている課題はありますか。
中島:見えているのは充電と、メンテナンスの問題でしょう。先ほど申し上げた通り、月の表面は非常に過酷な環境です。現在製造されている機械部品は、プラスマイナス100度という環境での活動を想定していません。そのため現行の部品では壊れてしまい、月での継続的な活動はできないのです。
また月では充電ができないため、月に到着したYAOKIの稼働時間は数週間程度と見込んでいます。そこで段階的な解決策として、まずは充電器を月に持ち込んで稼働時間を延長。次にYAOKIが格納できるシェルターを持ち込むことで、日光の熱が要因で壊れてしまう部品が保護できるようになります。
ここまで整備が進めばYAOKIを大量に導入できるので、月環境の探索が非常にスピーディに進められるのではと思います。
目標は“生物三原則の達成”!?
――段階を踏んで順に問題を解決していくということですね。
中島:もっと長期の目標は「YAOKIが自己増殖できるようになること」なんです。3Dプリンターを持ち込んで、現地でYAOKI製造を可能にすることが第一ステップ。月にある素材でパーツを作成できるようにするのが第二ステップです。個人的には、夢の話ではないと考えていますよ。
そしてもっと近い未来、「YAOKIで月旅行でも行こうか」と気軽に言ってもらえるような「第二の体」となるのが目標です。体は地球に置いたまま、YAOKIを通して月を散歩するような感覚ですね。
機体があり、充電・放電といったエネルギー代謝ができ、自己増殖も可能となれば、もはや条件としては生物に近いという言い方もできます。新たな手足の感覚で、YAOKIが普及すれば面白いのではないかなと考えています。