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ライブ配信サービス「ツイキャス」、投資家への“裏切り行為”が示す危機感

ビジネス

予想達成が困難なのは明らかだった?

ツイキャス

※第2四半期決算説明資料より

 業績の下方修正を出したタイミングも気にかかります。モイは2023年1月期第3四半期の決算を発表する少し前の2022年11月16日に発表しました。しかし、第2四半期の時点で売上高は32億4400万円でした。このとき、成長率は見込みを下回って推移していることを認めています。ただ、業績予想の修正は行いませんでした。

 ライブ配信は季節性にほとんど左右されません。上半期の売上高が、当初予想の半分にも届いておらず、見通しが甘かったことは経営陣も把握していたように感じます。第2四半期の決算は9月13日に発表しており、上場からおよそ5か月が経過していました。

下方修正が発表されたのは…

 新規上場には大株主のロックアップが設けられています。株式が公開された後、一定期間は市場で売却できないようにする制度です。モイの場合、ベンチャーキャピタルは公開から90日間、株価が1.5倍になるまで売却できないという制限がついていました。モイは初値が1.5倍を上回っているため、ベンチャーキャピタルは90日を待たずに売却ができます。

 しかし、モイ代表の赤松洋介氏や取締役の芝岡寛之氏、個人でモイに投資した伊藤将雄氏(「ユーザーローカル」代表)は、180日間のロックアップ期間が設けられているだけ。つまり、6か月間は株式の売却ができません。下方修正はロックアップ期間が外れてから発表しています

 なお、第2四半期の決算を発表した9月13日の株価は664円でした。公募価格を上回っており、その後もしばらく500円台で推移しています。2023年1月時点では300円台にまで落ち込みました。公募価格を下回って推移するようになったのは、下方修正を発表した後です

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