わずか2年で「若き匠」に…女性メガネ職人の手仕事へのこだわり
顧客とのコミュニケーションを大事にし、「お客様のことを思いながら」作ったメガネ。番組の中で、メガネを受け取った顧客は、掛けた瞬間に驚きの声をあげ、笑顔になって帰っていきました。
メガネは、顔の印象を大きく左右するだけでなく、ほんの少しのズレで見え方が変わってしまったり、掛け心地が悪くなってしまうものです。顧客とのやり取りを大事にする彼女には、安心してメガネを注文できそうです。
「メガネフレーム国内生産シェアNo.1」鯖江市の試み
彼女も職人になるために修行をした福井県鯖江市。鯖江市は、メガネ製造の産地として国内外から高い評価を得ており、国内生産シェア94%を占めています。
鯖江と言えばメガネを連想するほどの人気ブランドになっていますが、それでも苦境に立たされています。
「福井の眼鏡産地の概要」によると、製造品出荷額は、1992年を100とすると、2015年には49.3%まで落ち込んでいます。これには、メガネが安価なものになったことが影響していると見られます。
この状況に危機感を覚えた市と事業者は、鯖江をブランドにする取り組みを2008年から始め、官民一体となってプロモーションに打ち出したのです。その1つが2009年の東京ガールズコレクション。人気アパレルブランドとコラボ商品を開発したことが、大きな話題になり、数々のメディアで取り上げられ、その名を全国に轟かせました。
さらに2010年には、めがねミュージアムをオープンさせました。ここでは、製造道具や歴史を知ることが出来るだけでなく、メガネの販売や、メガネを作る体験ができるスペースなどを揃えています。さらに、鯖江の街をメガネのテーマパークにする「メガネーランド構想」を打ち出し、その改修費用を、クラウドファンディングを活用して集めています。
鯖江市はメガネ以外にもさまざまな先進的な取り組みをしていることで知られています。女子高生と一緒に町作りをする「JK課」、オープンデータによるICT活用、サテライトオフィスの誘致などです。
鯖江市の先進的な取り組みは、人口減少が課題となっている地方の参考になるかもしれません。
メガネは人の印象を大きく変えるものだから
インターネットでは、彼女の職人魂に称賛の声が多くあがっています。
「努力家でストイックな彼女の姿が素敵だった」
「自分でメガネを選ぶと似たようなものばかりになるからオーダーメイドって良いなあ」
「彼女のモノづくりの精神や、思いやり、すごく勉強になる」
現在では、海外で作られた安価で品質の高い製品が多くなっています。そのため、国内産業としては、縮小傾向です。しかし、メガネという顔の印象を大きく変えるアイテムだからこそ、こだわりを持って作られた大量生産品ではないメガネを掛けたいという声も少なくありません。
今日も彼女は、顧客の笑顔のために、工房でメガネ作りに取り組んでいることでしょう。
<TEXT/湯浅肇>