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棒読みでも、滑舌が悪くても「プレゼン上手な人」がやってる話し方のコツ

学び

相手のインセンティブがどこにあるか見極める

 ここまで、あなたの話が伝わりやすくなるための、簡単なテクニックをご紹介してきました。ただ、ここでご紹介したテクニックは、「基本」ができた上で通用するものです。何度もしつこいようですが、まず、大前提として相手に聞く姿勢がなければ、どんな言葉も伝わりません

 アイコンタクトや挨拶を通じて、相手が話を聞く姿勢になることを待つ。そして、相手のインセンティブがどこにあるのかを見極める。その上で、最適だと思われるロジックを主張して、エビデンスを説明し、最後にもう1回、「だからこれが大事なんです!」とねじ込む。これさえできれば、話し方や声のトーン、話すスピードが与える影響など、本当に微々たるものです。

 いわゆる話し方の本は、話し方や身振り手振りのロールモデルの大事さを説くことが多いです。でも、誰かにできたからといって、別の人が同じように再現することはできません。さらに言えば、それは多くの人には実践できないケースもあります。

おぜん立てがなければ言葉は伝わらない

会話

 そもそも滑舌を直すのは不可能に近いし、声の大きさにしても腹式呼吸をすれば多少は大きくなりますが、いまはマイクという文明の利器もあるのでオペラ歌手張りに頑張って声を大きくする必要はないはずです。にもかかわらず、「こうすればあなたも話し方の達人になれる!」と言い放ち、読者を煙に巻き、なんとなくわかったような気にさせる

 本を読んだ人も得したのだか損したのだかよくわからない気持ちになったまま、本を閉じます。でも、本を読んだあとに、あなたの話が相手に伝わっていないのなら、それは詐欺です。そんな詐欺師のロジックに負けてはいけません! 基本を守り、ゆっくりと話しかけるようにしゃべり、構成を工夫する。そうすれば、あなたの話は伝わります。

 普段のプレゼンから上司への説得、ディベートまで、すべてこれだけ守ればいいのです。誰かが他人を言葉で操っているように見えたとしても、そんな易行はあり得ません。言葉以外の部分でのおぜん立てがなければ言葉は伝わらない。その事実を、決して忘れないでください。

<TEXT/経済評論家 上念 司>

1969年、東京都生まれ。経済評論家。中央大学法学部法律学科卒業。在学中は創立1901年の弁論部・辞達学会に所属。日本長期信用銀行、臨海セミナーを経て独立。2007年、経済評論家・勝間和代氏と株式会社「監査と分析」を設立。取締役・共同事業パートナーに就任(現在は代表取締役)。2010年、米国イェール大学経済学部の浜田宏一名誉教授に師事し、薫陶を受ける。リフレ派の論客として、著書多数。テレビ、ラジオなどで活躍中

論破力より伝達力

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