“あえて郊外”22年目の「御殿場プレミアム・アウトレット」が目指す新たな価値体験
2000年代当初は“アウトレット”の説明に苦労
また、御殿場プレミアム・アウトレットの開業当初、出店ブランド側はイメージダウンの懸念から「アウトレットへの出店に抵抗感を抱いていた」という。
「2000年代は“アウトレット”自体を説明する必要がありましたが、今ではアウトレットが広く認知され、むしろアウトレットへ出店することが重要な戦略として考えるブランドも増え、出店のご提案もしやすくなっており、ファッション以外にもライフスタイル、雑貨も取り揃えたほうがお客様のニーズを満たせると考えています。
各ブランドのポリシーはありますが、多種多様なブランドに出店いただけるように尽力しています。20年以上アウトレットモールを運営してきた実績と、リーディングカンパニーとしての信頼感や安心感、そしてアウトレットモールの開発から運営まで一気通貫で手がけていることが大きな強みになっています」
最高益達成からコロナでインバウンドが消失
施設の拡張からブランドラインナップや機能の拡充、買い回りを意識したゾーニング(店舗配置)まで、非日常的な空間の演出にもこだわっているそうだ。
「植栽や草花のデコレーション、建築のデザインなど、リアルな場ならではの空間演出を心がけています。従来は異国にいるかのようなアメリカの都市をモチーフにした景観で、例えば鳥栖プレミアム・アウトレットはカリフォルニア南部の街、神戸三田プレミアム・アウトレットはロサンゼルス市郊外の高級住宅地をイメージしました。
最新のふかや花園プレミアム・アウトレットはデザインコンセプトを一新し、地域との共生をコンセプトにしたデザインを採用しています。いずれも、楽しい思い出を作ってもらうための体験価値の向上を常に念頭に置いています」
こうした取り組みや他社と同質化しない独自性が強みとなり、プレミアム・アウトレットは2019年度において業界トップの3,434億円の売上を記録。しかし2020年のコロナ禍では、インバウンド需要の消失や感染拡大防止による行動制限で客足が伸び悩み、売上が低迷したという。