ToDoリストでは生産性が上がらない?一部の人にだけ効くのはワケがあった
「常に時間が足りない」「大事なことに使う時間が欲しい」日々の忙しさからこのように思うことは多いでしょう。みなさん有意義な時間を増やす方法、知りたくありませんか? 自身のブログ「パレオな男」で月間250万PVを集めるほどの人気ブロガーである、科学ジャーナリストの鈴木祐さん(@yuchrszk)。
今回は、鈴木さんが2022年10月に出版した『YOUR TIMEユア・タイム 4063の科学データで導き出した、あなたの人生を変える最後の時間術』(河出書房新社)より、「ToDoリスト」「タイムログ」についての項を紹介します(以下、同書より抜粋)。
ToDoリストが効く人、効かない人
「ToDoリスト」について考えてみましょう。周知のとおり、その日にやるべきタスクをすべて書き出して上から順にこなすテクニックのことです。その効果については知名度のわりにさほどの成果は確認されておらず、特定の人にだけ生産性の向上が認められています。
それでは、ToDoリストで生産性が上がる人とはどのような人でしょうか?
この点については、社会心理学者のロイ・バウマイスターが、おもしろい指摘をしています。いわくToDoリストの効果を得る人は、目標が達成されないことによる認知の悪影響が減っているというのです。いったいどういうことでしょうか?
リストの有無で興味深い調査結果に
バウマイスターらが行った実験では、研究チームは学生の被験者を集め、そのうち半分に「日々の生活でやり残したことをToDoリストにまとめてください」と依頼。そのうえで、リストとまったく関係ない小説を読むように指示しました。
ToDoリストといえば一覧にした作業を順にこなすのが本来の使い方ですが、ここではあえて関係ないタスクを実行させて、どのような違いが出るのかを調べたわけです。その結果は、興味深いものでした。事前にリストを作ったグループは、そうでないグループよりも小説に集中して取り組むことができ、読書のあいだも注意がそれにくくなったのです。