悪用厳禁!依頼を断られない「会話のテクニック」を心理学のプロに聞く
「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」とは?
神岡:例としては、妻が夫に「今日会社帰りに大根買ってきてくれない?」と、1つ聞きます。「それくらいならいいよ」と言われたあとに、「あとね、長ネギもなくて」「それと人参も3本ほしいの」と段階的にお願いすることで、一度「いいよ」と言ったことで断りにくくなり、会社帰りに買ってきてもらえることになるんですね。
次に「譲歩的依頼法」という先にわざと断られるような要求をする方法です。例えば「今月厳しくて給料日には返すから5万円貸してくれない?」と言うと「それはちょっと……」って断られるとして、実はこれ、ダミーの要求なんですね。この後に「そっか、だめか。じゃあ1万円で良いから貸してくれない?」と聞くと、先に譲歩をしたことで「まぁ1万円なら……」と聞いてくれる。
これは誰かに親切にされたらお返ししなきゃ悪いなと思う「返報性の原理」という習性を活かしています。要は、罪悪感を利用しているんですね。これは相手に鼻先でドアを閉められてしまうがその先を展開していくという意味合いの「ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック」とも言われています。
仲良くなるには情報収集が要
――短時間で誰かと仲良くなったり、意思疎通が可能になるようなコツはなにかあるのでしょうか?
神岡:「ザイアンスの法則」という3つの法則があります。1番目に「人は見知らぬ人に対しては冷淡に接すること」。だから職場でも早く親しくなることにメリットがあるんですよ。2番目に「人は会えば会うほど親しみを感じること」。接触頻度が高ければ高いほど親しみを覚えやすくなります。
「社内であの人しょっちゅう会うな」といった感じです。例えば、キャバクラの女の子となんとかデートしたい、口説き落としたいなんて時は、ひたすらお金を落とす。これじゃダメなんです。しょっちゅうお店に通うこと。こうすると相手から親しみが湧いてきます。後は、CMでよくみる商品をスーパーで買ってしまうなんてことも当てはまりますね。
3番目に「人は人間的な側面を知るほど親しくなること」。この人間的な側面というのは趣味とかですね。これについてはコミュニケーションをしていく上で覚えていると良い、「共通項の原理」というものがあります。例えば出身地が同じとか、兄弟がいるといった類似性があると人は仲良くなります。
だから仲良くなりたい人がいたら、その人についての情報を収集する。そこで好きなものを聞いたらその話をすることで仲良くなれる。あとは相手の得意分野について質問をするといいです。犬好きの人に「犬のことで質問が……」と言うふうに、相手の得意分野に向けて質問をするという感じですね。