アリババのジャック・マー「インターネットはビールのようなもの」――中国CEO名言録
ここ数年、中国企業の存在感が大きさを増している。今の中国を代表する企業と言えば、「アリババ(阿里巴巴)」「バイドゥ(百度)」「テンセント(騰迅)」といったあたりだろうか。
「アリババ」は中国にネットショッピングを普及させ、スマホ決済の分野でも社会全体をリードしている。
「バイドゥ」は中国版グーグルとも呼ばれる検索サイト「百度」を運営しており、「テンセント」は中国版LINEと呼ばれるチャットアプリ「We Chat」を提供。
中国大企業リーダーの発する“語録”
強引に日本企業でたとえるなら、「アリババ」は楽天、「バイドゥ」はヤフー、「テンセント」はLINEのようなイメージかもしれない。いずれも中国人の生活に深く浸透しており、もはやインフラと言っても過言ではない。
これら3社は創業時期も近く、テンセントは1998年、アリババは1999年、バイドゥは2000年に誕生している。経営者はいずれも現在40代~50代前半だ。
彼らはどのような考え方をして、これら大企業を創り上げたのだろうか。その一端をさぐるべく、各経営者の発する“語録”を見てみよう。
アリババのジャック・マー「インターネットはビールのようなもの」
アリババを創業した馬雲(ジャック・マー)は大学受験に2度失敗し、浪人中は三輪車に乗って雑誌を運ぶ力仕事などもしていた。3度目の受験でギリギリの点数で地元の浙江省杭州市の大学に進学し、英語を専攻。
卒業後は大学の英語講師をしながら、翻訳会社を設立した。94年にシアトルから来たアメリカ人講師から「インターネット」について教わると、起業を決意。翌年にはアリババの前身となる会社を妻と友人の3人で設立した。
“インターネットはビールのようなもの。泡のあるうちが一番美味しいんだ”
ジャック・マーはこんな言葉を残している。「インターネットとは何か?」すら知られていなかった時代に、いち早く新ビジネスに挑戦し、イノベーションをもたらした彼らしい言葉である。ジャック・マーは2010年時点で、次のような発言もしている。
“ネットショッピング(Eコマース)をやらないと、5年後には後悔することになるだろう。10年後には、ネットショッピングなしのビジネスなど、存在しなくなるだろう”
当初はごく一部の人々に限られていたネットショッピングは、今や日本でもごく一般的なものになりつつある。衣料品や食品にまでその範囲は拡大し、ジャック・マーの予言通りの世界が到来しつつある。
「永遠不放棄(絶対にあきらめない)」を信条としているジャック・マーだが、一方では、こんな言葉も。
“今の仕事が嫌なら、辞めるか黙って働くか、二つに一つだ。無駄だと思ったなら、辞める勇気も大切だ”
事実、ジャック・マーは、教育分野を中心とした慈善事業に専念するためという理由で、今年の9月10日、「1年後の会長職からの退任」を表明した。ブラック企業で悶々と働いている日本人にも、役に立つ言葉かもしれない。愚痴を言いながら「でも辞められない……」と働き続けるのは、彼に言わせればナンセンスであろう。