社長不倫辞任の「スノーピーク」が今後も安泰なワケ。アウトドア企業3社の現在地
アパレルブランドとしての側面が強いが…
2020/3期は「The North Face」「HELLY HANSEN」など他社ブランド品の人気もあり、売上が堅調に推移しました。近年のアウトドア人気も売上に貢献したようです。また、日本で開催されたラグビーワールドカップ2019の影響で日本代表のレプリカジャージが人気となり、増収に寄与しました。
利益面では増収だけでなく直営店・ECの売上比率上昇が増益につながりました。直営店・ECは、コストを自社で管理しやすく、卸よりも経費削減を実現しやすいというメリットがあります。
翌2021/3期はコロナ禍が業績悪化につながりました。アウトドア人気に伴い、卸先である大型スポーツ店での販売が伸びたものの、一時休業の影響で都市部の卸先や直営店での販売が落ち込みました。確かにコロナ禍では登山・アウトドアレジャーが人気となりましたが、純粋なアウトドア用品というよりアパレルブランドとしての側面が強い分、悪影響を受けてしまったと考えられます。
2023年3月期も売上過去最高を予想
しかし、2022/3期はコロナ以前の水準を超え、売上高は過去最高を記録しました。新しくEC売上高比率をKPI(重要業績評価指標)として設定するなど、ECや直営店といった自主管理部門での販売を強化しました。EC販売の好調は同社製造のブランドが一定の需要を持っていることを表しており、「The North Face」のウェアは近年確かに見かけるようになった印象があります。
そして、同年度は主力のメンズに加え、キッズやレディースも対象として客層拡大に努めました。卸先が前年度ほど休業の影響を受けなかった点も増収に寄与しています。利益面では韓国子会社の好調が経常利益の拡大に貢献し、最終利益は大幅に増えました。
近年の推移をみると、コロナ禍当初は休業の影響で業績が悪化しているものの、2022/3期からは経済活動の回復に加え、同社製品の人気によって業績がV字回復していることが分かります。2023/3期について同社はアウトドア人気やECの拡大が継続すると考えており、売上高1060億円を予想しています。