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正気の沙汰とは思えない「原発再稼働」。再エネよりも火力発電を選ぶべき理由

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正気の沙汰とは思えない「原発再稼働」

原発

© Pavel Dolgikh – Dreamstime.com

 福島第一原発事故の収束のめどさえ立っていないのに、さらに何基もの原発を動かそうというのは、正気の沙汰とは思えない。安全だと言い張ったとしても、一度、大事故を起こしたときの悲惨さは、他の発電施設の比ではない。確かに、短期的には発電単価も安いのでコストパフォーマンスは高いだろう。

 しかし、それは自動車を運転するのに自賠責保険をかけないほうが安上がりだというのと同じ理屈だ。もしも事故が起きてしまえば、トータルの発電単価は天文学的な数字になる。確率的に大地震は必ず起き、それに随伴して原発事故が起きる蓋然性も高い。今日も明日も明後日も大丈夫だと言っても、50年後まで大丈夫だという保証などないのである。

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ということわざがあるが、福島第一の事故はまだ喉元さえ過ぎていない。原発を動かさなければ、国民が生きていけないというわけではないのだから、本当に国民の安全を考えるのであれば、「原発ゼロ」を前提に、エネルギー戦略を見直すべきだと私は思う。

原発、再エネよりも火力発電を選ぶべき理由

 現在の日本の電源構成は、2020年の統計で見ると、化石燃料が76.3%で、内訳はLNG39.0%、石炭31.0%、石油6.3%である。原子力は3.9%、再生可能エネルギー19.8%で、内訳は水力7.8%、太陽光7.9%、風力0.9%、地熱0.3%、バイオマス2.9%だ。

 ドイツは2022年をもって、電源構成比12.8%を担っていた原発をすべてやめて、他のエネルギーに切り替えると宣言しているわけだから、わずか3.9%の日本が他のエネルギーに切り替えることができないはずはない。

 政府はSDGsの追い風もあって、太陽光や風力に力を入れているようだが、太陽光発電には、広大な敷地が必要で、1メガワット(1000キロワット)の出力の発電所を設置するのに、1~2ヘクタール(1万~2万平方メートル)の面積が必要である。風力発電所はさらに広大な面積が必要で、同じ出力を出すのに太陽光発電のさらに3.5倍の面積が要る

 原子力発電所はこれらに比べ同じ出力を出すのに太陽光発電所の100分の1の敷地面積で済むが、火力発電所ならさらに狭い敷地面積で事足りる。日本のように狭い国土で、太陽がよく当たる場所にメガソーラーを大量に設置するのは国土の有効利用の観点からしても賢くはない。食料自給率がカロリーベースにして37%しかないのだから、穀物を作って備蓄しておいたほうが安全保障上はずっと賢いと思う。

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