“地球温暖化”の専門家が生んだ超巨大「脱炭素ビジネス」の裏側
新型コロナウイルス感染症のパンデミック以来、連日テレビに出てワクチンの必要性を力説している「専門家」たちが注目を集めてきた。しかし、「そもそも“専門家”とは誰かということ自体、実はかなりあいまいである」と述べるのは、テレビでもおなじみの生物学者池田清彦氏(@IkedaKiyohiko)だ。
科学哲学、環境問題、生き方論など、幅広い分野に関する著書を持つ池田氏が、「専門家だからこそ言えないようなこと」を、その分野の文献や客観的なデータを踏まえながら論じた著書『専門家の大罪-ウソの情報が蔓延する日本の病巣』より、「地球温暖化と脱炭素ビジネス」についての章を紹介する(以下、同書より抜粋)。
「地球寒冷化」からの奇妙な変遷
もはやすっかり忘れ去られているようだが、1960年代後半から1970年代の前半ごろは、多くの科学者たちは「地球寒冷化」を危惧していた。「このままではまた氷河期が来る」といったたぐいの言説がまことしやかにささやかれていたのだ。
確かに1940年ごろから1970年くらいまで地球全体の平均気温は徐々に下がっていたので、そのデータを証拠にしながら、「地球はこれからもどんどん冷えていきますよ」と言われれば、なるほどそうか、と多くの人は思ったことだろう。
ところがその後、そんな予想に反する変化が起こる。1970年あたりを境に、一転して気温が上がり始めたのだ。しかもそれがかなりの急カーブだったことから、今度は「地球温暖化」の問題がクローズアップされるようになる。
「地球温暖化」がいつの間にか真実に
やがて、その原因は増える一方であるCO2の人為的排出(化石燃料の消費による排出)なのではないかと科学者たちは疑い始めた。つまり、「自分たち人間のせいで、冷えていくはずの地球が逆に温められている」と言い始めたのである。
1988年には、アメリカ上院の公聴会でNASAのゴダード宇宙研究所の所長で気候科学者でもあるジェイムズ・ハンセンが、「温暖化の原因は大気中のCO2濃度の上昇であり、これは99%、人間の活動によって引き起こされたものだ」と証言したあたりから、「人為的地球温暖化説」はすっかり有名になって、いつの間にか「真実」として扱われるようになったのだ。