1番の苦労は「入店拒否」。全盲のヘルスキーパーに聞く、盲導犬と暮らす日々
盲導犬という存在は広く認知されているものの、その特性について知る人は少ない。
全盲のヘルスキーパー、浅井純子さん(@nofkOzrKtKUViTE)が9月4日、<盲導犬は人にむかっていったり、吠えたりすることはありません。盲導犬がもっと当たり前になるように。 そして、もっともっと賢さを知っていただけたら嬉しいです>と盲導犬と一緒にデパートに入った際の様子をツイートし、大きな反響を集めていた。
多様性が叫ばれているが、ハンディキャップを持った人が生活しやすい社会の実現の難しさを感じさせられた。とはいえ、嘆くばかりでは現状は変わらない。リラクゼーションサロン「暗闇ドライヘッドスパ」のオーナーを務める傍ら、自身のハンディキャップに関する講演などを行っている浅井さんに話を聞いてみた。
徐々に視力が低下して全盲に
浅井さんが全盲になったのは、30歳の時に「モーレン潰瘍」という病気に罹ったことがきっかけだという。
「モーレン潰瘍ははっきりとした原因が不明です。主な症状は目の痛みや充血などで、進行すると結膜や強膜に炎症が起き、失明になる可能性があります。私も徐々に視力が低下して2018年に全盲になりました。
光が失われていく中、『いずれ目が見えなくなるだろう』という予感はしていました。それまでは白杖を使用していたのですが、これからの生活を考えた結果、盲導犬という選択肢が浮かびました。その後、日本ライトハウス盲導犬訓練所に連絡して、ヴィヴィッドと出会ったんです」
入店拒否が相次ぎ、自ら発信していくことを決意
自身の意見を積極的に発信するようになった理由としては、「盲導犬と生活するようになって1番苦労したことは(飲食店に)入店拒否されたこと」とのことだ。
「日本には『身体障害者補助犬法』という法律があり、第9条で『不特定かつ多数の者が利用する施設を管理する者は、当該施設を身体障害者が利用する場合において身体障害者補助犬を同伴することを拒んではならない』と定められています。
ただ、レストランやカフェなどに入店しようとすると、『他のお客様の迷惑になるかもしれない』『犬にアレルギーのある人もいるかもしれない』『店長に聞かなければわかりません』と言われるケースは珍しくなく、そもそも身体障害者補助犬法を知らない人がほとんど。ですので、SNSなどを使って多くの人に法律はもちろん、盲導犬についても知ってもらうために発信を始めました」