再起をかける居酒屋チェーン「金の蔵」で、“270円均一”が復活。なぜ今?運営会社に聞く
新型コロナウイルスの感染拡大や物価の急激な高騰は、外食産業に大きな打撃を与えているのはご存じのとおりだろう。
そんななか、かつて都内を中心に広く店舗を展開した「金の蔵」と「東京チカラめし」が、新たな局面を迎えている。ガッツリ系の「焼き牛丼」を看板メニューに据えた「東京チカラめし」が2022年8月28日に都内最後の店舗の営業を終了、また居酒屋チェーン「金の蔵」は8月23日に「270円均一居酒屋」(税込297円)を池袋に復活させた。
そんな両店舗の栄枯盛衰とこれからを運営会社に聞いた。
100年に1度の大不況で始まった「金の蔵」
2010年代、全品270円という安価で、サラリーマンの胃袋を鷲掴みにした居酒屋が「金の蔵」だった。都内の主要駅の近くでは必ずと言っていいほど看板を見かけるような存在になり、2017年6月には87店舗まで展開している。
同店が人気を集めた時代的背景と創業者の思いについて、運営会社SANKO MARKETING FOODS広報担当の慈道淳一氏に聞いた。
「リーマンショックから始まった100年に1度の大不況の中でお客様のニーズにこたえるべく始まったのが“均一居酒屋”でした。お財布事情が厳しいであろうサラリーマンの方に対して『美味しいものを安く』という創業者の思いをぶつけた形です。当時は、開店前からオープン待ちの行列ができるほどで、営業中も常に満席で店内は活気に満ちておりました」
“飲み二ケーション”がハラスメントに…
しかし、飲食業界に大打撃を与えた新型コロナウイルスの感染拡大は、同社にも大きな影響を与えた。さらに、コロナ禍以前から日本に広がり始めた“あるマインド”も向かい風となり、急速に店舗を閉じ2022年の6月には6店舗までに縮小。まさに、盛者必衰のことわりをあらわす様相を呈した。
「都心の駅前に大型店舗を多く出店していましたが、“飲み二ケーション”がハラスメントと捉えられてしまう流れが世の中にあり、会社員同士での飲みの場が減少しました。そこに、新型コロナウィルスの拡大によって時短・休業要請を余儀なくされ、一気に閉店を進める必要がありました」