ほとんど影響ないのに…飛行機で「スマホを機内モード」にしなければいけないワケ
旅客機のエアコンがもつ重要な役目
飛行機にももちろんエアコンが装備されていて、胴体の中央や前部の下側に2~3台のエアコン本体が収められている。しかし、地上でふだんわれわれが使っているエアコンは冷暖房がおもな役目だが、飛行機のエアコンにはもっと重要な役目があるのだ。
上空は気圧が低いため、機内の気圧を調節しないと乗客は酸欠状態になってしまう。人間は、高度1万メートルの0.2気圧では1~2分で酸欠になり、意識を失ってしまうといわれる。これを防ぐためにエアコンが使われているのだ。
エンジンから入った空気は圧縮器で圧縮されて高温高圧の状態にされる。この圧縮空気は、200度以上という高温なので、胴体下部にあるエアコン本体に入り、エアコンの中にあるエアサイクルマシンという機械によってつくられた冷たい空気と混ぜられ、適温に調整される。
空調だけではない「酸欠」を防ぐ役目も
このエアコン本体でつくられた空気は、ライザーダクトというパイプを通って飛行機の天井に送られ、次にディストリビューションダクトというパイプを通って客室へと送られている。このシステムによって、機内の空気は人が呼吸できる状態に調節され、酸欠状態になるのを防いでいるのだ。
気温は、高度が100メートル上がると0.6度下がる。地上の気温が15度のとき、高度1万メートルの上空の気温はマイナス50度にもなっている。これでは乗客は凍死してしまうので、機内の温度はエアコンによって調節されて、快適な温度が保たれているのだ。
では、マイナス50度の中を飛んでいるときに、このエアコンが壊れたら、機内も一気にマイナス50度になるのか。たとえエアコンが壊れても、最低でも5度には保たれる機能があるので、命には問題ないとされている。