飛行機の座席表から1つだけ抜けている「アルファベット」と、その納得の理由
高度1万メートルを飛んでいる飛行機
飛行機の離着陸時に、耳に違和感を覚えた経験があるだろう。これは急激な気圧の変化による影響だ。地上の気圧は1気圧だが、飛行機が高度を上げるにつれて機内の気圧は下がる。だが、耳の中は地上の気圧と同じままなので、鼓膜が内側から押されるためだ。
飛行機は、通常約1万メートルの上空を飛んでいる。地上で1気圧の大気は、地上1000メートルで0.9気圧、2000メートルでは0.8気圧、1万メートルでは0.26気圧と、地上の約5分の1になる。さらに気温も高所ほど低くなる。地上で15度だとすると、1000メートルでは8.5度、2000メートルで2.0度、1万メートルではマイナス50度だ。
当然、人間はこの急激な気圧と気温の変化に耐えられない。そのため飛行機には、機内の気圧と気温を調整する装置が備わっている。
なぜ機内の空気は薄くならないのか?
機内の気圧を調整するために主翼の左右のエンジンから空気を取り入れて、圧縮した空気を機内に送り込み、気圧を機外より高くするのだ。この空気は高温・高圧なので、エアサイクルパックという装置によって冷たい外気を混ぜて温度を調整し、客室内に送り込んでいる。
また、機内の汚れた空気を機外に出すため、客室内を循環した空気は床下の両側から後方に流され、最後は圧力調整弁を通って機外に放出される。
このようなしくみによって、機内の気圧は高度7500メートルくらいまでは地上と同じ1気圧に、1万メートルでは約0.8気圧に保たれ、温度も22~23度くらいに調整されて、乗客が快適に過ごせるようになっている。
<TEXT/エアライン研究会>