中国離れが加速するハリウッド。次なる舞台は“柔軟でオープン”な隣国か
次なる舞台は“柔軟でオープン”なインドか
とはいえハリウッド映画も、欧米や日本など、従来からの市場だけでは興行として不安がある。現実問題として、中国に変わる新たなビッグマーケットの獲得が急務だ。
そこに白羽の矢が立っているのがインドである。国連発表「世界人口推計2022」では当初予測されていたスピードを大幅に上回って、2023年にも中国の人口を抜くとすら目されており、さらなる期待が世界中から寄せられているのだ。
文化面でも中国以上に柔軟でオープンな姿勢をとっており、映画の輸出入も盛ん。アメコミ大流行の流れから、『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』や『ソー:ラブ&サンダー』は、公開時の週末ランキングで1位の記録も出している。
インド映画が徐々に勢力を拡大
アメリカでのボリウッド(インド映画産業)映画の評判もうなぎ登りだ。最新話題作『RRR』がアメリカで公開されると、当時『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』や『アンチャーテッド』を上回るヒットを達成した。
同作の製作費にインド映画史上最大の7200万ドル(約97億円)が投入されるなど、インド自体の景気も上々。作品の評判もめざましく、『The Kashmir Files(原題)』や『Jugjugg Jeeyo(原題)』といったインド映画が、北米でのランキング入りをどんどんと果たし続けている。
インドの映画市場の魅力は、強固に築かれたアメリカ・インドの劇場間でのパイプラインばかりではない。
インターネットでの配信にも大きなアドバンテージがあるのだ。一定の水準以上であれば英語が常用教育に用いられているうえ、南インドの田舎でも、ネット回線やスマートフォンの普及が急速に進んでいるのがインドの実態。貧富の差はあるにせよ、相当な数の英語話者かつネットネイティブを国内に抱えている。