検索履歴や位置情報がダダ漏れに…個人情報が売買されるカラクリとは
SNSに集約されたデータが選挙で悪用?
本来の目的とは別に個人データが利用されている極めつきのような事例もある。選挙での利用だ。
アメリカでは2016年の大統領選で、選挙コンサルティング会社「ケンブリッジ・アナリティカ(CA社)」が、Facebook(現・Meta)などから集めた個人情報を利用した情報戦略を展開した。
CA社は2億4000万人分の有権者データを保有しており、1人ひとりの政治信条や趣味嗜好など5000項目の観点から分析し個人の性格を具体的に把握。政治広告に利用していたことが明らかになった。ターゲットは、政治的観念に対して特段意見を持っていない人。例えば、銃規制キャンペーンの場合、神経質な人には不安をあおるようにあえて銃の広告を出すなどしていた。
Googleは追跡用クッキーの一部提供廃止を公表
情報セキュリティに詳しい情報法制研究所(JILIS)の高木浩光副理事長はこう指摘する。
「ウェブの閲覧履歴は氏名と結びつかないので個人情報ではない。そんな考えは終わりました。欧州ではIT企業による個人データ収集の規制に乗り出しており、Googleは追跡用クッキーの一部提供をやめると公表しています。裏を返せば、それだけ今の現状を重く受け止めている」
知らない間に個人情報を抜き、知らない間に生活に干渉してくるネット広告ビジネス。法整備もさることながら、その魔の手を除けるには知識を備えるしかないのだ。