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旅客機のシートに課された厳しい安全基準

飛行機 客室

 旅客機のシートは、なんといっても、座り心地、寝心地のよさと、安全性が第一条件だ。各社ともファーストクラスのシートは豪華だが、基本的構造はエコノミークラスのシートと同じである。旅客機のシートは、まず安全基準をクリアしたものでなければならず、その安全基準に関してはどのクラスのシートであっても同じだからだ。

 この基準は国によって異なり、日本では、国土交通省が定めた基準にパスしたシートだけが機内にとりつけられる。

 第一に求められるのは、衝撃が加わっても壊れない強度だ。強度の基準は、固定したままで重力加速度が前方9G、後方1.5G、上方3G、下方6Gに耐えられることが条件である。さらに、不時着などの衝撃に対して前方に16G、下方は14Gまで耐えられるという条件も課せられている。

シートに課せられた厳しい基準とは?

 Gとは地球の重力加速度の単位だ。ふだん地上でわれわれにかかっているのは1G。2Gは自分の体重の2倍の力がかかることになり、16Gなら体重の16倍の力を受けることになる。人によって体重が違うから荷重の大きさも異なるが、安全基準では、体重77キログラムをもとに計算している。つまり、前方に対して77×16=1232キロの荷重に耐えられることが条件になっている。

 戦闘機のパイロットがアクロバット飛行で受ける重力の限界が9Gで、それ以上になると心臓が停止するというから、この16Gがどれほどの荷重かわかるだろう。荷重にはシートの重さも加わるので、シートの素材には強度だけでなく軽さも求められる。そのため、骨組みはアルミ合金でつくられている。

 そのうえ、シートには厳しい耐火基準が課せられている。火災が起きても燃えにくく、有毒ガスや煙が出にくい素材が求められるクッションには、不燃性の高いポリウレタンフォームや炭素繊維、カバー生地には燃えにくいウールが使われている。こうした厳しい基準をパスした座席が、乗客を快適かつ安全にくつろがせてくれているのである。

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