機長のアナウンスに隠された秘密。いつも同じ内容というわけではない
最低でも1500万円もの費用がかかる
2年間で必要な資格を取ったあと、特別枠で採用試験を受けることができるが、必ずしも航空会社に就職できるとはかぎらない。3つ目の、自力で必要な資格を取って航空会社の採用試験を受ける方法は、実際にはかなり難しいだろう。事業用操縦士、計器飛行証明、航空通信士などの資格を取らなければならないのだが、これらを取るには、最低でも1500万円もの費用がかかる。
資格が取れても、就職が保証されたわけではない。現在、この方法で採用しているのは、スカイマークをはじめとする中小会社で、大手のJALやANAは自社養成と、航空大学校出身者のみを採用している。男性パイロットばかりの世界だったが、最近は女性パイロットも、ANA、JALともに増えてきている。
女性でも資格があればパイロットになれるのだ。操縦桿を握って大空を飛びたい人は、挑戦してみてはいかがだろう。
パイロットは何もしなくていいの?
飛行機は、離陸してしばらくすると、自動操縦(オートフライト)に切り替わる。コンピュータが全部やってくれるということは、その間、パイロットは何もしないで座っているだけなのだろうか。自動操縦には、舵を動かすオートパイロットと、エンジンの出力を調整するオートスロットルがあり、あらかじめインプットしたコースを飛ぶことができる。条件さえ整えば、着陸も可能なのである。
だが、その間、パイロットは何もしていないわけではない。コンピュータは、パイロットに指示された通りに機体を動かしているだけで、先を予測して対応することはできないのだ。だから、パイロットは不測の事態に備えて、絶えず頭を働かせていなければならない。雲や気流を予測し、コンピュータの誤作動や巡航コース、エンジンの調子、燃料、オイル、与圧空調などの計器類をすべて監視している。
その緊張は大変なものである。そして、何かアクシデントが起きた際には、冷静な判断を下し、コンピュータに代わって操縦できるよう待機していなければならない。もっとも、自動操縦装置がなかった時代は、パイロットが操縦しながら、これらすべてをこなしていたのだから、以前に比べたらずっと負担が軽くなったといえるだろう。
また、現代の飛行機は、長距離、長時間、高速のフライトが多い。そのためにも、自動操縦はなくてはならないものになった。ちなみに、旅客機の自動操縦のスイッチは、正面の計器パネルの上に張り出した部分にあることが多い。
この部分はグレアシールドと呼ばれ、前方を監視しながら視線を移しやすいし、手も届きやすいという最良の場所なのである。
<TEXT/エアライン研究会>