長い移動で“時差ボケ”を防ぐには?そもそもなぜ起きるのか
飛行機はなぜ迷子にならないのか?
空中にも道(航空路)があることはわかったが、なにか目印があるわけではない。ならば飛行中、パイロットは何もない上空で、どのように自分の位置を知り、飛行しているのか、新たな疑問がわいてくる。飛行機の航法は、飛行機の歴史とともに大きく進歩してきたといっていい。現在では、無線航法と自立航法と呼ばれる航法が中心である。
無線航法とは、地上に設置した無線施設の電波を利用して自機の位置を知る方法。2つの無線施設の発した信号から現在位置を割り出す、いわば「電波の灯台」を頼りに飛行する方法である。だが、無線方式は電波が届かないところでは役に立たない。
それに出発地と目的地を直線で結ぶ最短距離に、すべての無線施設を設置できるわけではない。そのため飛行経路はジグザグになってしまい、飛行時間や燃料にどうしてもロスが多くなるというデメリットがある。
経路の混雑緩和や複線化も図るシステム
そこで登場してきたのが、飛行機に備えられたコンピュータで位置を把握する自立航法だ。なかでも、カーナビでおなじみのGPS(全地球測位システム)を使った広域航法(RNAV)が急速に普及してきている。これは飛行機に搭載されたコンピュータとGPSを併用して自機の位置を割り出す航法で、人工衛星の電波を使うため、世界中どこを飛んでいても利用できる利点がある。
また、出発地と目的地をほぼ直線で結ぶことができるため、ジグザグに飛ばざるを得なかった無線航法より飛行距離を短くでき、飛行時間短縮と燃料消費を抑えられるというメリットがある。さらに、このRNAVによる航法では、経路の混雑緩和や複線化も図ることが可能になり、ますます空の道も便利になってきている。