部下が生まれ変わる「1対1の関係」のコツ。知っておきたい4つのポイント
部下の反応が変化した結果
しかし、いったん心理的安全性が築かれると、「〇〇さんに教えていただいたのをこんな感じでやってみたんですけど、うまくいかないんですよ」「自分なりに考えて、〇〇さんのおっしゃることとは違うんですが、こうやってみました」
などのように、実際に「1on1ミーティング」で話し合った内容を部下が行動に移し、そのうえで考えたことや悩みを、正直に話してくれるようになります。この状態になれば、「1on1ミーティング」はしっかりと成果を出しているといえるでしょう。
部下が本音でコミュニケーションしてくれるようになると、上司は自分のマネジメントに自信が生まれます。部下を「もっと成長させてあげたい」という気持ちにもなるでしょう。そして、本気で部下のためを考えて、これまでだったら言いづらかった指摘もできるようになります。
こうしてよいサイクルが回り始め、お互いの信頼がいっそう深まっていくのです。
適切なミーティングで効果が上がった事例
実際、私たちがお手伝いさせていただいたあるメーカーでは、適切な「1on1ミーティング」を実施することで、部下のみなさんの行動変容のスピードが格段に上がりました。
これまでは「やります」と言ってもなかなかやらなかったり、そもそも前回の「1on1ミーティング」で合意したことすら忘れているケースが多々ありました。せっかく時間を取って「1on1ミーティング」を行っても、機能しているとは言い難い状況だったのです。
しかし、正しい「1on1ミーティング」を実施することで、部下が自主的に行動し、その結果を持ってくるようになりました。トライしてその結果を分析して考えることまでやってくれるわけですから、成長スピードも上がります。
また、ある商社では、「1on1ミーティング」が適切に行われたかどうかを、上司、部下が振り返る習慣をつくったそうです。ミーティングの最後に、「どういった点が改善できるか?」を上司、部下双方が考えて、「次回の『1on1ミーティング』ではこうしよう」という取り決めをするのです。
往々にして「1on1ミーティング」では、部下だけが宿題を持ち帰るケースが多いのですが、このように上司も宿題を持ち帰ることで、より「伴走者」であるという意識を持っていただけるのではないかと思います。部下自身の行動変革に対する姿勢も変わってくるわけです。
<TEXT/EDGE株式会社代表取締役 佐原資寛>