日本の黒幕?国家予算の5倍を管理する“長い名前の信託銀行”とは
資産管理業務が委託されることで不正を防ぐ
しかし、信託銀行に資産を分別管理してもらえば、悪意のある運用者がいたとしても、資産を勝手に使われることがありません。
そういった意味では、ファンドと呼ばれる資産運用会社の資産管理業務に、日本マスタートラスト信託銀行のような金融機関が関与していることは重要です。数値の粉飾や虚偽報告ができませんから、ファンドの価格などが適切であると信頼できます。
以前、消費者からお金を借りて利益を分配するソーシャルレンディングという仕組みにおいて、当初の想定と異なる会社にお金が流出したことがあります。たらればですが、もしこの仕組の中でも信託銀行が介在し、適切に資金を管理したり、投資先を確認する仕組みがあれば、不正は起こらなかったかもしれません。
有効期限が近い株主優待を寄付する?
もし、皆さんが投資先について安全性を確認したいと感じたら、資産管理業務を行う信託銀行が関与しているか、チェックしておくと良いでしょう。もし、信託銀行が資金の預かりに関与していなければ、理由を聞いておくべきです。それほど、重要な事業であり、大切な金融機関と言えます。
日本マスタートラスト信託銀行は、多くの上場企業の大株主であるため、大量の株主優待が届きます。優待券、割引券、金券は換金し金券ショップの商品となります。しかし、換金性のない食料品も届きます。消費期限や有効期限が近い株主優待は、寄付をするなどサステナビリティに配慮した業務もあるのだそうです。
いかがでしょうか、聞いたこともない金融機関ですが、公的年金を含めた私達の生活の資産運用面を影で支える存在。それが資産管理業務を行う信託銀行なのです。
<TEXT/ファイナンシャルプランナー 高橋成壽>