日本の黒幕?国家予算の5倍を管理する“長い名前の信託銀行”とは
みなさんは、日本マスタートラスト信託銀行という金融機関を知っていますか? 株式に投資している人なら、一度は聞いたことがあるでしょう。
上場企業の大株主の1人に名を連ねる会社で、ネットでは「日本の黒幕」とも言われていますが、その実態はどのような会社なのでしょうか。ファイナンシャルプランナー事務所代表の筆者(高橋成壽・@fpooji)が、500兆円を管理する謎の金融機関に迫ります。
そもそもどういう成り立ちの会社なのか?
日本マスタートラスト信託銀行は、資産管理業務を専門に行う信託銀行として、2000年に設立された資本金100億円の銀行です。株主は、三菱UFJ信託銀行、日本生命、明治安田生命、農中信託銀行と、巨大金融機関4社が出資しています。直近の売上は約300億円です。
信託銀行は、一般的な銀行業務に加えて、財産を管理運用する信託業務や遺言の保管や執行を行う併営業務を行うことができます。信託業務で預かった財産は銀行の財産とは別に管理され、銀行が破綻しても信託財産として預けた資産は守られる、倒産隔離という機能があります。
資産管理業務とは?
信託銀行の業務のうち、資産管理業務とは年金基金や投資信託などの資産運用を支援する業務を指します。資産運用業務の管理部門をアウトソーシング先と言い換えることもできます。株や債券などの有価証券の売買の決済、有価証券の保管、売買に伴う残高の管理、配当金や利子の受け取りなど、資産運用業務の裏方を担う縁の下の力持ちと言えます。
年金基金や投資信託の名義で上場企業の株式を保有すると、どの投資家がどの株式を保有しているか公開されます。資産運用会社としては自社の運用戦略が公になることを避けたいため、日本マスタートラスト信託銀行などを通じて有価証券を売買しています。
そうすることで、匿名性を維持したまま有価証券を売買することができるのです。