相次ぐ“パワハラ告発”に見る、ハラスメント対策の難しさ
企業、学校はどのように対策すべきか
課題のひとつとして、パワハラ被害の相談を受けた側は企業内の人でも、学校内の人でも被害者の辛い気持ちは心底まではわからないということです。また、「被害者の辛い気持ちを理解しろ」と言うのにも限界があります。
事例として先に紹介した教員からパワハラを受けている看護学生は日本ハラスメント協会に相談する前に別の人権相談ダイヤルに相談したところ、「相手はあなたのこと嫌いなのだと思います」「右から左に流して頑張れ」と言われ、絶望したそうです。
被害者の気持ちを同レベルで理解するのは困難であることから、対策として少なくとも社外、学外に相談者のプライバシーが保護され、相談したことによる不利益取り扱いの禁止が保障され、迅速に解決につながるフローを整備する対策に尽きます。
1人のパワハラ行為者が在籍するリスク
パワハラ問題で大きく報道された企業や学校についてニュースで知る私たちは、少なからずパワハラの会社、パワハラの学校と印象づけて記憶します。
パワハラ体質の組織は存在しますが、たった1人のパワハラ行為者以外の人は、とても良い人なんてことはよくあります。そのように考えたとき、企業や学校はたった1人のパワハラ行為者を在籍させているリスクに着目してほしいと考えます。
人手不足の問題もありますが、今の時代は仕事ができるからとパワハラ行為者を野放しにするリスクがかなり高まっています。パワハラ行為者が企業、学校に与える目に見えない損害は想像以上と捉えた上で対策を行うことが望ましいでしょう。
<TEXT/ハラスメント専門家 村嵜 要>