売れない営業マンと、売れる営業マンの決定的な違い。商品説明をする人はNG
「どんな商品か」を説明するのはNG
では、提案型の営業になるにはどうしたらよいのでしょうか。商品理解が大前提と言いましたが、商品知識を頭に叩き込めばよい、ということではありません。顧客が知りたいのは、商品の機能や性能ではありません。「その商品がどのような価値を自分に提供してくれるのか」という顧客にとっての「ベネフィット(利益)」が 知りたいのです。
たとえば、あなたが医師から薬を処方されるときのことを考えてみましょう。 医師が、薬の成分や名称、ほかの薬とどう違うか、何が優れているかといったことを長々と説明し始めたらどう思うでしょうか。「そんなことより、この薬が何に効くか、このつらい症状がどう改善されるかを教えてほしい」と思うはずです。
患者にとっての課題は「病気を治すこと」であり、そのために適切な薬が選ばれ、処方されるべきです。医師が薬の名前や成分、効果効能を覚えるのは当然のことですが、患者にとってはつらい症状さえ治ればいいのです。
営業が商品やサービスを提案する場合も同じです。営業が商品知識を身につけ、お客様の質問に答えられるようにするのは、基本中の基本です。ただ、商談では、自社の商品やサービスが顧客にとって「どう役に立つのか」を提案することが求められます。
提案型の営業は「どんな利益があるか」
実際のトーク例で比較してみましょう。
【機能を説明するNGトーク例】
「この○○という商品には、Aという機能やBという機能があり、他社の製品よりも優れています。その点がさまざまなお客様に選ばれています」
【ベネフィットがわかるOKトーク例】
「御社が掲げる□□という目標を達成するには、××という課題をクリアする必要があるかと思います。そのために△△の場面でこの○○をご活用いただくことで、課題を解決できます」
ひとつ目のトークでは、顧客は商品の機能や性能しかわかりません。他社が導入しているからといって、「では、うちも」とはなりにくいのが現実でしょう。一方で2つ目のトークは、相手の目指す理想のかたちや課題を理解したうえで、問題解決のシーンを想定し、「商品を導入することで、その課題が解決される」という流れで伝えています。
後者のような提案をすることでベネフィットがスムーズに伝わり、必要性を理解してもらえます。結果、相手の心に刺さりやすくなります。
そのためには、商品の基本的な知識に加え、「その商品がどんな価値を提供できるのか」「顧客にどんなベネフィットがあるのか」もイメージしながら理解するようにしましょう。これが、商品理解をより深めるということです。 商品の「機能」ではなくそれが提供する「価値」に注目することで、自然と「売れる」提案ができるようになります。
<TEXT/ユームテクノロジージャパン取締役CDO 小松麻美>