あなたのスマホも覗かれる?デジタル“鑑識”のスゴい技術
デジタル・フォレンジックはまだ聞き慣れない言葉ではないでしょうか。
フォレンジックとは「法廷の」「法医学」「鑑識」を意味する言葉で、デジタル・フォレンジックとは、犯罪の立証のための電磁的記録の解析技術及びその手続きのことを指しています。
8月28日放送の『クローズアップ現代+』(NHK)では、デジタル・フォレンジックの功罪について紹介されました。
大企業の不正事件の陰にデジタル・フォレンジックあり
世界的にデジタル・フォレンジックが注目されたのは、2001年のエンロンが起こした不正会計事件だと言われています。
役員がやりとりしたメールなどの電子データを調査して、確たる証拠を掴むために用いられたのがこの技術です。
警察庁の「デジタル・フォレンジック解説サイト」によれば、現代ではビジネスに限らずプライベートのやり取りにもデジタル機器が使われています。そのため、デジタル・フォレンジックの技術は捜査に欠かせないものになっており、多くの事件を立証するためにこの技術が使われています。
番組内では、消去したはずの画像データが容易に復元されてしまう様子や、浸水して故障してしまったハードディスクを分解して修復する様子や、泥だらけになったSDカードから画像を取得する様子が放映され、視聴者を驚かせました。
労災認定や残業代未払いや故人のスマートフォンも
デジタル・フォレンジックの技術は、破損した記憶媒体の修復や、消去されたデータの復元だけに留まりません。
労災認定や未払いの残業代請求の訴訟の際に、労働時間を証明するのに有効なデータを導くのもデジタル・フォレンジックの技術のひとつです。
働いたことを証明するために、交通系ICカードや、小売店のポイントカードに記録された購買履歴、セキュリティゲートの通過記録、スマートフォンの使用履歴などが使用されるようになりました。
弁護士の和泉貴士さんは「ここ1~2年でデータの種類が非常に増えている」と言い、労働時間を立証する手法も「時代の変化とともに新しい時代を迎えつつある」と番組内で指摘しています。