異例の物価上昇でも「政策は小手先だらけ」の岸田政権。消費税は戦犯、ガソリン税は停止すべき
外貨の運用の一部を石油の備蓄に
「まずは自然エネルギー転換を進め、海外からの石油依存を減らしていくことが必要です。それまでは、もっと石油備蓄を進めなければいけない。
私は円高を抑えるために円で外貨を購入した時、その外貨の運用の一部を石油の備蓄にまわしたらどうかと考えています。そうすれば、原油価格が高騰して輸入増になって円安が過剰に進んだ場合や、逆に急な円安で原油の輸入価格が上がる場合など、備蓄した石油を放出することで石油価格の抑制だけでなく円安を抑えることもできます」
また、「小麦やトウモロコシなども、国内での生産能力を高めなければいけません」と食料品の相次ぐ値上げの原因になっている、穀物を輸入に依存している現状にも提言も示す。
食料を海外に依存するのは危険
「関税や輸入規制といった自給を高める方法では、輸入価格が高騰した時と結局値段が変わらないことになって元も子もありません。1番筋の良い方法は、やはり備蓄です。普段は海外から輸入するほうが安上がりなので、備蓄以外の一般市場では輸入品を消費しても良いです。
ただ、海外穀物が高騰した時は備蓄を放出すれば、食料品の値上げは抑えられますし、備蓄生産農家が一般市場向けに生産できます。そもそも、新型コロナウィルスや戦争など、未曾有の事態が頻発している昨今、生きるために必要不可欠な食料を海外に依存している現状は大変危険です。エネルギー産業もそうですが、農林水産業に対しても積極的な財政支出を行い、緊急事態時でも国内で賄える環境を整備しなければいけません」
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岸田政権が財政出動に前向きかどうかは、ニュースを見る上では特に意識したい。
<取材・文/望月悠木 編集/ヤナカリュウイチ(@ia_tqw)>
【松尾 匡】
経済学博士。1964年石川県生まれ。神戸大学大学院経済学研究科博士課程後期課程修了。久留米大学経済学部教授を経て、2008年立命館大学経済学部教授。著書に『この経済政策が民主主義を救う』(大月書店)、『「反緊縮!」宣言』『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう』(ともに共著、亜紀書房)、『新しい左翼入門』(講談社現代新書)等がある