閉店相次ぐTSUTAYAと、堅調なゲオ。逆風のレンタル業界で差がついたワケ
複数事業の展開で難局を乗り切った
2021/3期ではGEOなどの「メディア系」が1167店舗、2nd STREETなどの「リユース系」が726店舗となっています。リユース市場は今後も拡大が続くとみられ、同社ではレンタルに代わる新事業としてリユースに活路を見出しています。
また、レンタルの印象が強いGEOでもリユース品や新品の売上高がかなりの割合を占め、レンタル事業だけを展開しているわけではありません。GEOで中古のゲームソフトを購入した人も多いのではないでしょうか。特にコロナ禍に入ってからは巣ごもり需要によって新品・中古ゲームの売上高が伸長したようです。
伸び続ける売上高と比べて、利益率は低下していますが、これは新業態店である2nd STREETの出店に伴うものです。地代や人件費が増加したほか、積極的なPRによって広告宣伝費が増加しました。新事業の拡大が続くなかでの利益率低下は仕方ありませんが、今後はコストカットが課題となるでしょう。
同社は拡大が続くリユース市場の波に乗って、今後も年間50店舗のペースで2nd STREETを開店していくようです。GEOの店舗ではもともとリユース品を扱っていたほか、2008年に2nd STREETを子会社化したことでリユース業態店にも参入しました。複数の事業を展開しリスクを分散していたため、レンタル市場が縮小しても乗り越えることができたといえます。
本屋に移り変わるTSUTAYA
GEOと並ぶレンタルビデオ店といえばカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)が運営するTSUTAYAです。CCCは2011年に上場廃止し、具体的な経営状況は公開されていませんが、2020年に歌舞伎町の大型店舗が閉店するなど店舗数は減少の一途をたどっています。
近年では「TSUTAYA」を「蔦屋書店」に変更し、書店事業で再起を図ろうとしています。上場企業であり、CCCの大手フランチャイジーである「トップカルチャー」の業績を参考に、TSUTAYAの今後を予想してみます。2018/10期から21/10期までの業績は以下の通りです。
【トップカルチャー業績(18/10期→21/10期)】
売上高:323億円→312億円→301億円→264億円
営業利益:▲11.3億円→1.7億円→4.4億円→3.6億円
最終利益:▲13.8億円→1.4億円→3.7億円→▲19.4億円
店舗数(蔦屋書店・TSUTAYA):78→76→73→68
ゲオとは対照的に規模の縮小が続いているようです。CCCはレンタル事業の不調に伴いTSUTAYAを蔦屋書店に変更し、お洒落なライフスタイル提案型の書店として生まれ変わりました。店舗内にはスターバックスやタリーズが併設され、ドリンクを頼むとフリースペースで未購入の本を読めるようになっています。ただし、多くの店舗では従来通りレンタル事業も手がけているようです。
トップカルチャーも蔦屋書店を運営することで再起を図ろうとしていましたが、販売用CD・DVDの売上が不調なうえ、従来のレンタル事業が不調だったため店舗の縮小が続きました。書籍の売上高も思うように伸びず、全社の業績は既存事業の縮小に引っ張られた形です。