急増する「発達障害グレーゾーン」。不注意やミスの先にある出口
実行機能の低下が人生を困難に
いずれにしても言えることは、原因がADHDかどうかはともかく、実行機能の低下が行動のミスだけでなく、判断のミスを招き、それにより人生を困難で厄介なものにしてしまうということだ。
実際、社会適応にもっとも高い相関が認められるのは、4つの群指数のうち、実行機能の指標とされる「処理速度」である。一般に行われることが多いウェクスラー式知能検査では、処理速度は、逐次(ちくじ)処理課題と同時処理課題の2つで判定される。
ただ、この方法では、課題遂行の能力を見ることはできるものの、意思決定やプランニングについてはあまりわからない。また、課題遂行の際に、現実の場面では重要になる柔軟性(注意や方針の切り換え)といった能力もあまり反映されない。
実行機能の「チェックリスト」5つ
意思決定やプランニング、柔軟性(注意の切り換え)については、別の検査をする必要があるが、通常の検査ではあまり行われない。ただ、目安となるチェック項目を知っていれば、問題がありそうかどうか、おおよその見立ては可能だ。
そこで、意志決定、プランニング、逐次処理、同時処理、柔軟性についてのチェックリストを掲げた。それぞれ、2つの項目とも当てはまるときは、その能力に課題があることが疑われる。
【実行機能のチェックリスト】
■ 意思決定:予定のない買いものをしてしまうことが多い。その場の気分で行動しやすい
■ プランニング:計画的に行動するのは苦手だ。よく説明書を読まずに、いきなりつくり出してしまう
■ 逐次処理:飽きっぽく、何ごとも長続きしない、根気のいることは苦手だ
■ 同時処理:瞬間的な判断は不得手だ、2つのことを同時にやると、効率ががた落ちする
■ 柔軟性:一度やり出すと変更するのが苦手だ、同じ失敗を繰り返しやすい