生きづらさを抱える発達障害グレーゾーン。過敏で傷つきやすい人たちも
不安型愛着スタイルの過敏さの違い
こうした状態は、生得的な要因もあるだろうが、むしろ育った養育環境のなかで、そうした傾向が育まれていることが多く、医学的概念としては、不安型愛着スタイルと呼ばれるものに、ほぼ相当すると考えられる。
不安型愛着スタイルは、親の顔色をつねに気にしながら育った人に典型的に見られるもので、親が気分次第で極端に態度を変えたり、情緒的に不安定だったりすることが要因となる。それ以外にも、両親が始終喧嘩していたり、生活が苦しく、他人にすがらないと暮らせないような安心感の乏しい境遇に置かれたりすることも、そのリスクを高める。
不安定な親をもつ場合や、安定しない境遇で育った場合、子どもは当然、周囲の大人たちの気分や顔色に敏感にならざるを得ず、それを読みとり、機嫌をとるという戦略で何とか生き延びようとする。その結果、安心感に欠けた面をもつだけでなく、周囲の空気や人の顔色に過敏な特性を身につけてしまうと考えられる。
ASDタイプと不安型愛着スタイルが同居も
感覚過敏な傾向が見られる場合も、社会的コミュニケーション障害をともなっているか、それとも、その面が逆に過剰に働いてしまうのかを見極める必要がある。
社会的コミュニケーション障害をともなわない感覚過敏であれば、いわゆるHSPであり、そのベースには、不安型愛着スタイルが認められることが多い。この場合、同じ運動を反復したり、同一の行動パターンに執着したり、細かい点にやたらこだわったりするこだわり症は通常あまり目立たない。また、感覚過敏と同程度かそれ以上に心理社会的過敏性が強く、相手の顔色や表情に敏感で、気もちを感じとりすぎてしまうことも特徴である。
なかには、両方の傾向がある場合もある。もともとASD傾向があった人が、親からの過干渉や支配、学校などでのいじめなどにより、周囲の顔色や反応に敏感になっている場合には、ASD傾向と不安型愛着スタイル(恐れ・回避型の場合も)が同居するということが起きる。