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気を遣いすぎは逆効果?「いい人なのに嫌われる」人の特徴を読み解く

学び

忖度や察し合いのいらない風通しのいい職場に

孤独

「気遣いさん」は、察し合いや忖度を求める職場環境が生み出しているケースがあります。もしも職場のコミュニケーションが円滑に回っている理由が、個人同士の過剰な察し合いや忖度のおかげなのだとしたら、その慣習はすぐに見直すべきでしょう。

 例えば、業務上の依頼や伝達などは、必ずメールや書面で明文化すること。これまでは上司が「よきにはからえ」という空気を出せば、部下が手を回してくれていたかもしれません。こうした慣習をやめることで「気遣いさん」の負担が減り、より効率的で建設的な話し合いにエネルギーを割けるようになります。

 もしも職場で、察し合いの文化を維持したいなら、人事評価の尺度にも改善が求められます。高度な気遣いを要求されるのに、それが評価に繋がらなければ、組織にいるモチベーションが下がります。察する能力をその人のいい特性として最大限に生かせるように、人柄や対応のよさも評価制度や褒賞に組み込むようにしましょう。

相手の本心や本音を読むことと気遣いとは違う!

 自分に「気遣いさん」の傾向があると自覚している場合、何に対して過敏で繊細になっているかを認識しましょう。人によって不満や怒り、悲しみなど敏感に反応するポイントは違います。疲れやすさを感じている人は、自分が特にどの要素に疲弊しているのかを分析してみるだけでも対策は立てやすくなります。

 また、心得てほしいのは気遣うべきポイントを最低限に踏まえるということ。もっと言えば、人の本心や本音を読み解いてまで対応しようとしないことです。「気遣いさん」が嫌われてしまうのは、気遣うポイントと気遣いの深さを見誤っているとき。

 勝手に「あの人の本心はこうじゃないか」と先回りした結果、正しい気遣いではなくなっていることがしばしばあるからです。人の感情まで追うことはやめて、表面上のやりとりを額面どおりに受け取って対処すれば十分。深追いしないことが自分と周りの人を助けますので、目の前のやるべきことだけを中心に考えましょう。

<TEXT/進化心理学者 石川幹人>

1959年、東京都生まれ。進化心理学者、明治大学情報コミュニケーション学部教授、博士(工学)。大学で教鞭を執る傍ら、科学リテラシー教育や科学コミュニケーションの啓蒙活動にも力を入れている。主な著書に『その悩み「9割が勘違い」』(KADOKAWA)、『生物学的に、しょうがない!』(サンマーク出版)ほか多数

いい人なのに嫌われるわけ

いい人なのに嫌われるわけ

「いい人」のはずなのに、なぜか人をモヤモヤさせて嫌われてしまう人、あなたの周りにもいませんか?そんな人間関係の謎を、進化心理学の専門家である著者が「サルからヒトへの進化」「狩猟・採集時代から文明社会への変化」という視点から解き明かします

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