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住む場所や生活保護を諦める人も…“貧困問題に取り組む”上智大生らが見たリアル

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“家がない”ことは全世代における深刻な課題

家あってあたりまえでしょプロジェクト

 具体的なプロジェクト発足の流れとして、「2021年11月ごろに『住居の保障を求めるプロジェクトを立ち上げよう』と決めてからは、学生メンバー3名を中心として、すぐに記者会見や相談会の準備を始めました」と説明する。

「私がプロジェクトについてツイートしたところ、リツイートが2000を超えました。大きな反響に驚くとともに、『今まで住居の不安定さに対する違和感や悩みを抱えている人って結構いるのだな』と思いました。他にも、『家を失っても自己責任にされる社会おかしい』という声だけでなく、『自分も参加したい』という人もおり、年末の活動時には約40人の若者が活動に協力してくれました」

 年末年始では路上やネットカフェで生活している人にアウトリーチ(支援が必要な人に行政や支援機関などが積極的に働きかけ、情報や支援を届けることを)して、行政が提供している一時宿泊施設につなげる活動を行っていた岩本さんだが、「10代の学生から80代の高齢者まで、幅広い年齢の人々の相談を受けました」と“家がない”ことは全世代における深刻な課題であると痛感したという

なかには再び路上に戻ってしまう人も

 また、「路上やネットカフェで過ごす人のなかには、行政に支援を求めた経験、もしくは生活保護を受けた経験を持つ人が多かったことがわかりました」と行政側の対応の悪さも目の当たりにしたようだ。

「生活保護受給者は本来、アパートなどでの一人暮らしが原則です。しかし、(埼玉県さいたま市)大宮区の窓口では、生保受給者を劣悪な『無料低額宿泊所』に入居させることが常態化していました。無料低額宿泊所は狭い部屋に見知らぬ人と相部屋、食事は粗悪なレトルト食品ばかり。

 さらには、かびやダニが発生しているなど、とても人が安心して生活できる環境ではありません。『そこでの生活に耐えられず逃げ出して再び路上に戻ってきた』という人を今回の活動だけでも何人も会いました」

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