マスク生活で「耳疲れ」が急増…補聴器メーカーが伝えたい、耳との付き合い方
飛行機でも騒音環境に注意
繰り返し「20代からでも耳をケアしていくべき」と力説する藤垣氏と野口氏に、具体的な対策を聞いた。
「すぐにでも実践できる予防策は、音楽を爆音で聞かない・長時間大音量で音を聞き続けないということ。また、ノイズキャンセリング機能がついたイヤホンも、周りの音を落とし音量を上げずに済むため有効です。
さらに、意外と知られていないのは飛行機の中も85デシベル以上の騒音環境になること。距離によっては、フライトが8時間以上に及ぶ場合もあるので、当然耳への負担も大きくなります。飛行機に限らず、騒音が気になる場所ではノイズキャンセリングイヤホンを使ったり、耳栓やイヤーマフを使うことをおすすめします」(野口氏)
難聴は認知症の危険因子
また、同社では耳の衰えを啓蒙するためにスマホアプリ「耳年齢チェック」もリリースしている。
「こちらは年齢別にモスキート音を鳴らし、その音の聞こえ方で耳年齢を測るというもの。モスキート音自体は聞こえなくなっても生活に支障はありません。しかし、音の聞こえ方によって、耳の衰え具合をチェックすることはできます。
アプリの基準で『みんな(8000Hz)』の音が聞こえない場合は、弊社サイトの『オンラインきこえのチェック』でより詳しくチェックすることも可能です」(野口氏)
イギリスの医学誌『The Lancet』に掲載された論文によると、難聴は高血圧や肥満などと並び認知症の危険因子とされている。耳はコミュニケーションをつかさどる機能ということもあり、脳とも密接な関係にあるのだとか。
20代から耳の老化は始まっている。普段から動画や通話の音量に気をつけ、耳に不調を感じたらすぐに耳鼻科に行くことが、将来の健康を守ることにも繋がるだろう。
<取材・文/つちだ四郎>