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キャリーバッグは消耗品…蔵書1万冊超の”純文学YouTuber”が「紙の本にこだわる」理由

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読書ペースを知ることから始めよう

つかっちゃん

つかっちゃんさん

――読むペースを上げる方法はありますか?

つかっちゃん:慣れるしかないと思います。ただ、自分が何ページを何分くらいで読むのかというペースを把握しておくといいですよ。自分の読書ペースを知っていれば「通勤電車の中でここまで読める」というような、計画が立てられて焦らずに読むことができます。

――個人ではなく、社会全体に読書文化の裾野が広がるには何が必要だと思いますか?

つかっちゃん:まずはきちんと本を紹介する人が増えることですね。これまでは書評家がいて、今はSNSで本を紹介している人がかなりいます。僕がSNSやYouTube(純文学YouTuberつかっちゃん【1万冊の古本コレクター】)をやっているのも自分の好きな本を紹介したいからです。

 あとこれは妄想なんですが、行政が各自治体に「読書アンバサダー」を配置するのはどうでしょうか? 住民がいつでも誰でも、その人に合ったオススメの本を紹介してもらえるような存在です。もしそんな仕事があったら、ゆくゆくは僕もなりたいです(笑)。

若い会社員におすすめのタイトルは

丸の内魔法少女ミラクリーナ

『丸の内魔法少女ミラクリーナ』(KADOKAWA)

――売れている本の情報は溢れていますが、「私にはどんな本が合うのか」を知ることができれば、いい本に出会えそうですね。では、最後に若い会社員にオススメするのはどんな作品ですか?

つかっちゃん:村田沙耶香さんの『丸の内魔法少女ミラクリーナ』(KADOKAWA)ですね。主人公は30代の女性で、勤務先がブラック企業なんですよ。でもそのブラックな扱いを乗り越えるために、主人公は自分を「魔法少女」だという設定にするんですね。無理な残業や不当な仕事をさせられるたびに「この仕事で、私が魔法少女として悪の組織から地球を守っている」ということにするんです。

 そんな妄想力で、辛い現実を乗り切っていくという物語で面白いです。他には、羽田圭介『メタモルフォシス』(新潮社)も仕事とプライベートそれぞれの顔の使い方を見ることができるのでオススメですね。

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「読まなきゃ」とは思っていても、習慣がないとハードルが高く感じてしまうはず。まずは、通勤電車などの隙間時間で無理なく始めてみるのが良いのでは。1日10分の積み重ねが今後の人生を豊かにしてくれるかもしれない。

<取材・文/Mr.tsubaking>

【つかっちゃん】
1万冊以上の古本を所有し、書評を発信するYouTuberとして活動中
Twitter:@book_tsukatsu
YouTube:純文学YouTuberつかっちゃん【1万冊の古本コレクター】

Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も
Twitter:@Mr_tsubaking

丸の内魔法少女ミラクリーナ

丸の内魔法少女ミラクリーナ

単調でストレスフルな日々をキュートな妄想で脚色して何が悪い!さまざまな世界との対峙の仕方を描く、衝撃の短編集!村田沙耶香ワールドの神髄を堪能できる4篇を収録

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