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手取り17万円・28歳介護士の生活「氷点下でも暖房ナシ、雪を溶かして水道代わりに」

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貧困から脱出する姿が想像できない?

貧困

テーブルはまさかのダンボール!

 でも、それならもう少し給料の高い職場に転職する方法もあります。現在は契約社員である以上、正社員のほうがいいはずです。

「そうかもしれませんが、今の仕事は残業がほとんどないんです。それに今の職場は良い人ばかりで、辞めた会社とは比べ物にならないほど働きやすい。非正規雇用から正社員になった人が多かったので、自分もそれを目指そうと思って言います。

 仮に正社員になったところで高給取りにはなれないけど、今より数万円でも給料が上がり、ボーナスが出るようになれば生活も多少は楽になると思います。ただ、1番はここならストレスをあまり感じずに働くことができる。たぶん給料が良くても人間関係や仕事がキツい会社はもう耐えられそうにないので……」

鍵本さんの収支内訳は?

 今後については「ひもじい思いをしない程度にのんびりくらせればいい」と語る鍵本さん。まだ20代なのにリタイアしたシニア層が掲げる目標のように聞こえます。

「高望みしてもそれを叶える姿が想像できませんから。だったら手取りで月収20万円もらえるようになりたい!って思ったほうが現実的じゃないですか。今はド貧乏かもしれませんが、せめて普通の貧乏くらいには昇格したいですね」

 極めて現実的と言えばそれまでですが、こんな低い目標しか掲げられない貧困層の若者たち。ひょっとすると私たちが考えている以上にこの問題の根の深いのかもしれません。

【鍵本さんの収支内訳】
給料:17万3000円
家賃:3万2000円
子供の養育費:3万円
食費:1万5000円
光熱水道費:1万1000円
灯油代:2000円
通信費:5000円
自動車関連費:1万3000円
保険代:1万5000円
雑費:1万2000円

収支:+3万8000円

<取材・文/トシタカマサ>

ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中

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