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コロナで若者のクルマ需要がじわり。BMWが掲げる「未来へ向けたEV化戦略」

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半世紀前に電気自動車をすでに発表

BMW

2011年2月に誕生した「BMW i」ブランド(写真提供=BMW)

 そんななかでも、近年の世界的な潮流であるEV化へのシフトは、自動車業界における大きな転換期と呼べるだろう。BMWは、EV市場の先駆者的存在としていち早く市場へ電気自動車(ピュアEV)を投入してきた。

 2011年に「BMW i」ブランドを立ち上げ、日本では2014年に国内初の電気自動車「BMW i3」を発売したことで大きな話題となった。なぜ、他社メーカーに先駆けて電気自動車の普及に注力しているのだろうか。

「実はBMWにとっての初のEVは1972年に開催されたミュンヘン五輪まで遡ります。当時、マラソンの先導車としてEVを走らせており、それ以降も『将来必ず役に立つ技術だ』と研究開発を続けてきたんです。モビリティの未来を切り開くパイオニア精神や革新的な技術の追求はもとより、先進的なブランドだからこそ、他社よりも先んじて市場へ投入すればプレゼンスを高めることができます」

確実にEV利用の裾野は広がってきている

「早く世の中に出すことで、さまざまな意見やフィードバックをもらえ、製品の改善サイクルを高速に回せるようになるわけです。幸いにも、日本は新しいものに対して寛容的に受け入れてくれる文化があるので、初めてEVを発売した際は予想以上に高い評価につながりました」

 しかし、2014年当時は充電インフラの設置台数が少なく、EVの普及には程遠い状況であった。現在も各自動車メーカーが電動化戦略を打ち立て、EV市場を開拓するために尽力してはいるものの、国内のEV市場はまだまだ道半ばと言えるだろう。

 遠藤氏は「数年前と比べてEV市場は拡大しており、着実に裾野は広がっている」とし、このように話した。

「i3を出した当初よりも、EVの充電スタンドが設置されている場所はかなり増えました。カーディーラーやスーパー、コンビニ、サービスエリアなど、全国の至るところに充電スポットが点在しています。BMWでもEVを買うと、全国2万か所以上に広がる充電ネットワークを利用できるようになり、専用のアプリ『BMW Charging』を使えば、最寄りの充電ステーションの検索や電気消費量を確認することができます

 さらに、全国160か所近くあるBMWのショールームに充電スタンドを順次設置していくので、いわゆる“電欠”の状態に陥ることは少ないのではと考えています」

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