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人気つけ麺「大勝軒」社長がパワハラ?外食業界“深刻なハラスメント”の実態

ビジネス

「社長がパワハラ」その影響力の強さ

怒り

 社長がパワハラ行為者になるケースは一般的には少ないですが、例えば店長がパワハラする場合と社長がパワハラする場合ではどれくらい影響力の強さに違いがあるのでしょうか。

 答えは容易に想像できると思いますが、圧倒的に社長のほうが強いです。組織のトップであることから社内のさまざまなことに決定権があります。社長の暴走を誰も指摘できない場合は社内で独裁者にもなってしまいます。

 厚生労働省が公表している「職場におけるパワーハラスメント6種類型」のひとつに「身体的な攻撃」がありますが、大勝軒TOKYOの事例でスタンガンを当てることを強要する行為は一般的なパワハラの領域を超えていると考えられます。傷害罪や強要罪にもなり得る可能性があり、冗談でも絶対に言ってはいけない、やってはいけないことです。

第三者の立場の人が注意するしかない

 本来であれば社長が率先してハラスメント対策を打ち出すべきですが、社長が行為者で、パワハラの自覚がない場合は解決が困難です。パワハラ行為をする人は「自分のやり方が気に入らなければ、ついてこられないなら、辞めてもらう」という考えの人が多く、日頃からそのような態度で従業員と接していると考えられます。

 そうなると従業員は、ある程度は気に入られないといけないと考えるのが普通です。無理して、行為者に合わせる行動になってしまいます。次第にエスカレートしていき、社長は普通の感覚がわからなくなっていくでしょう。このような場合、利害関係のない第三者の立場の人や組織などが社長に注意するしか方法がありません

 パワハラ行為者は「逃げるのか? 逃げるのは簡単だ」などと被害者の精神面が弱いという表現でプライドをくすぐり、精神論で煽ってきます。この洗脳から抜け出すことが大切です。当時の状況から考えたときに、元店長の勇気のある行動に筆者はベストな選択をしたと思っています。大塚大勝軒の元店長は会見で「あの場所から逃げることを決めました。ほかの従業員を助けたい」と語りました。

 このような状況の場合は当然、次の仕事のことなど先行きの不安があるものです。それでもまずは安全な場所に避難してから冷静になって今後のことを考えるのが良いでしょう。逃げるは正義=「解決に向かう1歩」と考えてほしいと思います。

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