IT嫌いのオーナー社長を説得するには?社内政治に必須「根回し」のコツ
IT嫌いのオーナー社長を説得するための作戦は?
そして、②の心理的な距離や好き嫌いがある人は、ゲームに出てくる「敵キャラ」とゲームとして割り切れば、根回しも楽しくなります。割り切りましょう。敵キャラを分析し、どの武器でどの順番で倒せばいいか「攻略本」をつくるのです。
ポイントは、「裏の組織図」を描いてみることです。たとえば、
・A課長とB取締役は同じ大学で同じゼミだったこともあり仲がよい。
・実は総務ではベテランのCさんがキーマンで課長より影響力がある。
というように、裏の組織図に沿って根回しする順番や中身を思い描くのです。あるメガバンクでは、実は孫会社の役員がキーマンになっていました。そのため、メガバンク本体で提案を通したい課長、部長、役員が根回しのため常に行列していました。
また、とあるオーナー企業では、IT嫌いの社長を説得するために、社長の息子である係長を巻き込むことで、IT導入を実現させたことがありました。根回しは決して汚いことではなく、30代が活躍するための必須スキルだということを、ぜひ覚えておいてください。
「根回しの順番」を間違えるな!一番ダメなのは…
「根回しは最終決定者から順番に」。こう考える人は少なくないでしょう。しかし、むしろ根回しは、物事を自分の頭で考え、判断できる理性的な人から行いましょう。この人たちは、建設的、中立的な意見をくれるありがたい存在だからです。
一方、「〇〇専務はなんと言っていましたか?」などと聞いてくる人は、多数派に従うだけなので後回しで大丈夫です。理性的な人たちから押さえ、外堀を埋めることで、彼らは自然と味方になります。そして、勝算をつかんだうえで決裁の場に向かいます。
注意したいのは、最終決裁者がサラリーマン的な調整型リーダーの場合です。その際、リーダーが誰の顔色をうかがっているのかを把握しておきます。意思決定の際、その人を賛成派として引き入れておかないと、ひっくり返されるリスクがあるからです。
もちろん、社内においても社外においても、意思決定者に近い人を押さえたほうが効果的ではあります。ただ、社内なら上司の上司、社外なら担当者の会社の社長や上司などにアプローチする時は、注意が必要です。トップアプローチは諸もろ刃の剣になるからです。
考えてみてください。上司や担当者をすっ飛ばして上にアプローチし、トップダウンで事案が下りたら、上司や担当者の面子は丸つぶれでしょう。その結果、せっかく案件が通っても協力が得られない恐れもあります。無益な戦いは避けるのが一番。「戦」いを「略」すのが戦略です。この場合のコツは、上司や担当者と一緒になって「意思決定者を味方にするにはどうしたらいいか」を考えることです。彼らを一緒にゲームをクリアする仲間に巻き込むのです。