50年ぶりの経済危機が米国を襲う?元ゴールドマンFMが「2022年の世界経済」を解説
このままなら2022年の利上げは確定的
11月3日、市場の織り込みは間違えているのか? と問われたパウエル議長は、一瞬口ごもると手元の資料を棒読みし始めた。
「何度も『um』『eh』とためらいながら苦しげな読み方でした。『市場が間違えている』と言えばさらなるインフレを容認するように受け取られかねないし、『市場が正しい』と言えば株の急落を招きかねない。その苦悩が言葉にならない声として漏れていた。今の市場はFEDの政策判断ミスを織り込んだ状態にあるんです」
だが、FOMC後の10日に発表された前出CPIでは「一時的」どころか、インフレが加速していることが明らかに。アミン氏は「想像以上のインフレが足元で進んでいるため、このままなら2022年の利上げは確定的」と話す。
支持率急降下中のバイデン
実は、インフレに頭を悩ませているのは、中間選挙を控えたバイデン大統領も一緒だ。
「インフレはバイデン大統領の支持率にも影響しています。WTI原油先物価格は7年ぶりの高値水準に達し、ガソリン価格が急騰しているからです。クルマ社会のアメリカではガソリン高騰は支持率低下に直結します。すでにバイデン氏の支持率はワースト2位の水準まで低下中。下にはもうトランプさんしかいません(笑)」
8月の無様なアフガン撤退による支持率低下に、インフレ圧力が追い打ちをかけた格好だ。
「民主党はインフラ投資に、社会保障の拡充、突出して高い薬価の改定、大学生の奨学金ローン返済免除、富裕層増税などさまざまな課題を掲げていますが、ほとんど実現できていません。それどころか、バイデン政権の最重要課題のひとつである地球温暖化対策が原油生産投資を抑制して原油高を助長していると批判を浴び、中国やロシアとの対立を深めている。その影響は後々、市場に現れるでしょう」
11月にも米議員団が台湾を訪問。蔡英文総統が訓練目的での米軍の台湾駐留を認めたこともあって、米中の対立は深刻化している。
「バイデン政権は中間選挙を控え、弱腰な姿勢は見せられない。米中冷戦は市場の大きな不安要素です」