ペットはゴキブリ400匹!? 学生作家・篠原かをりに聞く「“夏に嫌われる虫”との付き合い方」
――篠原さんは慶応義塾大学SFC研究所所員で、昆虫食などの研究をされているそうですね。
篠原:ただ、巷で言われているほどには、昆虫食は実用化にはまだ遠いのが現状だと思います。昆虫食はまだ嗜好品の範疇ではないでしょうか。
――そうなんですか。
篠原:戦時中にはカイコ3匹で、卵1個分の栄養価って言われていたんですけど、実はそれも間違い。昆虫がメインの食べ物になるかは難しく、まだ先の話です。
ただ、昆虫は単純においしいです。例えばゴキブリはクセが少なくて昆虫の中でもかなり食べやすいほうです。
ゴキブリの美味しい食べ方とは?
――ゴキブリですか!
篠原:もちろん種類によって味は違って苦いのもあったりしますが、おいしいものも多くて。以前、昆虫食の料理コンテストで審査員をやったことがあって、脱皮したばかりのゴキブリのホイル包み焼きを食べましたが絶品でした。
――たとえ味が良くても、見た目が……。
篠原:不快感を覚える方はいるでしょうが、だいたいの昆虫は油で揚げるとおいしく食べられるし、おつまみにもいいと思います。
あと、エビ料理は基本、昆虫で代用できます。夏にはエビチリならぬ、“セミチリ”なんかもいいかもしれませんね。
――セミはどうやって調達するのですか?
篠原:セミは死骸だと、死後どれだけ経過したかわからず、腐っている場合もあるのでやめたほうがいいですね。
夕方に羽化するため、木にあがってきたセミを捕るのがラクでおすすめです。セミの幼虫は植物的な甘みがあるので、好きな人も多いですね。
――たしかにエビの代用にゴキブリやセミなどの昆虫が使えると考えるとだいぶハードルが下がります。
篠原:セミ以外だと、コオロギも食用に使われますが、ただコオロギは共食いするので養殖が難しいんです。一方、ゴキブリは養殖も比較的容易で、性格もよいので仲間同士共存することができます。
もちろん、心理的抵抗はあると思いますが、昆虫食が実用化されるなら、まずはゴキブリからということになるはずですね。
<取材・文/安里和哲 撮影/林紘輝(本誌)>