遊戯王、桃鉄、パワプロが好調のコナミ。盤石のゲーム事業でも残る“不安要素”
コロナ禍で「桃鉄」が大ヒット
コロナ禍の2021/3期は巣ごもり需要でデジタルエンタテインメント事業の成績が大幅に伸びました。家庭用ゲーム、モバイル、カードゲームのいずれも売上が増えたようです。モバイルではウイイレ、パワプロ、プロスピが依然人気を集めているほか、カードゲームは遊戯王が引き続き海外で好調となりました。
家庭用ゲームは従来のタイトルが堅調ながらも、2020年11月に発売された「桃太郎電鉄 ~昭和 平成 令和も定番!~」が特に話題に。Nintendo Switch版として出された桃鉄ですが、4年ぶりの新作ながらもネットやテレビで大きく取り上げられ売り上げを伸ばしました。
全年代で楽しめる点やフレンドとオンライン対戦できる点がコロナ禍での人気を集めたのかもしれません。デジタルエンタテインメント事業の売上高(1056億円→1203億円→1417億円→1534億円→2042億円)も、好調に推移しており、2021/3期の全社売上高がプラスを維持できたのも同事業の躍進によるものです。
ゲーム事業は好調だが…
一方でアミューズメント事業、ゲーミング&システム事業、スポーツ事業はコロナ以前から不調が続いており、2021/3期にガクッと業績が悪化した形です。アミューズメント事業を例にとると売上高は253億円→252億円→278億円→237億円→176億円と推移しています。
ゲーセン機器関連のアミューズメント事業は麻雀や競馬関連のメダルゲームで話題作を生み出しましたが、市場が拡大していないためか業績は大きく伸びませんでした。実際にゲーセンの店舗数は年々減少しています。
海外カジノ関連のゲーミング&システム事業は、新規カジノの開店数が限定的であったことや導入が次期に遅れたことが影響し、こちらも不調です。特に2021/3期はコロナ禍の影響が大きく出ています。スポーツ事業は直営店の退店が続き、売上高が減り続けました。
スポーツクラブ全体では2016年まで市場が伸び続けていましたがそれ以降は低迷が続き、コナミも市場の流れに沿ったと考えられます。2021/3期は利用客も大幅に減り、退店が続きました。
以上のようにコナミHDは主力のゲーム事業で好調ながらも、それ以外の事業が低迷していることがわかります。せっかくの多角的な展開も他事業をとりまく市場環境が悪く、メリットを活かせていないようです。