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トップ営業マンは「学歴詐称で入社」だった!それでも解雇にならない事情

学び

解雇において重視される2つの要件

解雇する

 大津氏に私の受け止め方を提示すると、次のように答えた。貴重な指摘であるので記載したい。

「当然、経歴詐称といった事実を重く見る経営者もいれば、若さゆえの過ちと見るのかといった差はあろうかと思うが、単に恣意(しい)や主観だけで判断がなされるわけではない。解雇においては、客観的合理性と社会相当性という2つの要件が求められる。

 今回のような経歴詐称は、採用において重要な判断要素のひとつである経歴を偽っているという点で、客観的合理性は認められるであろう」

些細な詐称であれば解雇されないことも

「しかし、社会相当性(解雇されてもやむを得ない、と社会的に受け入れられるか)まで満たすかどうかは個別事案によることとなる。例えば、仕事に必須の公的資格の保有について虚偽の報告をしていたという場合であれば、社会相当性が認められ、解雇になる可能性は高いと考えられる。

 一方、些細な詐称であれば解雇までする必要はないと判断されることになることが多いのではないだろうか

 このようにどうしても個別的な判断になってしまうことから、実務においては顧問の弁護士や社労士なども交え、複数の意見を踏まえて、冷静かつ客観的な判断が望まれると考える」

<取材・文/吉田典史>

【大津章敬】
1994年から社会保険労務士として中小企業から大企業まで幅広く、人事労務のコンサルティングに関わる。専門は、企業の人事制度整備・ワークルール策定など人事労務環境整備。全国での講演や執筆を積極的に行い、著書に『中小企業の「人事評価・賃金制度」つくり方・見直し方』(日本実業出版社)など

ジャーナリスト。1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006年より、フリー。主に企業などの人事や労務、労働問題を中心に取材、執筆。著書に『悶える職場』(光文社)、『封印された震災死』(世界文化社)、『震災死』『あの日、負け組社員になった…』(ダイヤモンド社)など多数

中小企業の「人事評価・賃金制度」つくり方・見直し方

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