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関西スーパー買収劇、H2Oとオーケーの対立が泥沼化。“百貨店の凋落”が背景に

ビジネス

頼みの綱が消滅し、悲鳴を上げる百貨店

 日本百貨店協会によると、2020年の年間売上高は4兆2204億円。前年比27.5%減という過去最大の減少となりました。営業時間の短縮、繁華街の人通りの変化、インバウンド需要の消滅。この3つの要素が響きました。特に主力となる衣料品の売上高が前年比31.1%もの減少に見舞われました。

 エイチ・ツー・オーがコロナの影響を真正面から受ける前の2020年3月期における事業別売上構成は、百貨店が52.7%、スーパーなどの食品が39.5%でした。

 スーパーを子会社化しているとはいえ、主軸は百貨店です。基幹事業がコロナで破壊されました。

百貨店に代わる柱としてスーパー事業を

エイチ・ツー・オーリテイリング業績推移

エイチ・ツー・オーリテイリング業績推移(単位:百万円)※決算短信より筆者作成

エイチ・ツー・オーリテイリング業績推移

 2021年3月期の百貨店事業の売上高は前期比26.5%減の3478億円となりました。それによって、19億円のセグメント損失(前年同期は114億円の黒字)を出すこととなりました。2021年3月期の会社全体の売上高は前期比17.6%減の7391億9800万円、29億700万円の経常損失(前年同期は118億3100万円の経常利益)を計上することとなりました。

 2021年3月期のスーパーを含む食品事業は、42億円のセグメント利益を出しています。コロナ特需で利益が出せました。

 関西スーパーもコロナ禍で利益率は1%から2%台へと改善しています。もし、百貨店事業の売上高がコロナ禍から回復しきれず4000億円を下回る水準で推移したとすると、関西スーパーを買収することによって食品事業の売上高は4000億円を超えて百貨店事業を追い抜きます

 新常態に強い会社を作るためには、食品事業の強化がどうしても必要でした。

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