1人の少年が生んだ「パワースポットブーム」の功罪。数時間待ちの行列スポットも
より怪しさの少ないジャンルに
パワースポットを紹介する人物を見てみると、1980~1990年代は精神世界の知識人や超能力者、2000年代はスピリチュアルカウンセラー、2010年代は芸人と、より怪しさの少ないジャンルになってきています。
目的については、精神世界では瞑想で宇宙のエネルギーを取り込んだり、天河神社にアーティストが集まっていたように何かしらの気づきを得るものでした。
これがスピリチュアル・ブームでは「ご利益」を期待しながらも自分を見つめなおしたり、スピリチュアルな成長を得ることとなり、島田秀平になると「金運アップ」や「開運」という、ストレートなご利益がアピールされています。
聖地巡りツアーのはずが勧誘トラブルに
このようにカジュアル化したからこそパワースポットは多くの人に受け入れられたのですが(超能力者が前面に出ていたらここまで広がらなかったと思います)、これは宗教的な用途に利用する人たちにとっては好都合です。
2014年8月、オウム真理教の後継団体が無登録で聖地巡りツアーを行い、数百万円の利益を上げていたとして家宅捜索を受けました。これは信者ではない一般人も参加できるもので、この団体が活動報告や参加者募集を行なっているサイトには「パワースポット」という言葉が並んでいました。
もちろんこれは極端な例ですが、ニューエイジや精神世界から広がった言葉だ、というのを頭の片隅に置いておくと、ツアーの内容を詳しく見たり、主催団体の背景を調べるきっかけになり、事前にトラブルを回避できるかもしれません。
<TEXT/オカルト・スピリチュアル・悪徳商法研究家 雨宮純>