安倍昭恵夫人のスピリチュアルな言動に見る、右派も左派もスピと繋がるわけ
仏教が混じった神道は「俗神道」
平田篤胤は国学の中心人物として知られるため、その名前をご存じの方は多いと思います。
実は、彼は仏教が混じった神道を「俗神道」として批判し、イザナギ・イザナミによってつくられた日本こそが世界の中心=「大地の元本」であって、外国は「枝の国」である、旧約聖書のアダムとイヴはイザナギ・イザナミ神話が誤って伝わったものである、といった国粋主義的な主張を行っていました。
平田の神道の根源への情熱は、鎮魂帰神法(精神集中法である鎮魂法と神懸を誘発させる帰神法からなる行法)を復興させた本田親徳、言霊学を確立した大石凝真素美といった人物に受け継がれ、これらが出口王仁三郎(でぐちおにさぶろう)による大本教義の基となります。
大本から離脱して「ひかり教会」を立ち上げた岡本天明(おかもとてんめい)が16年に渡って自動書記した『日月神示』は現在でもスピリチュアル系でよく参照される文書で、ガイドブックや予言の書として読み解く類の本が多く見つかり、新型コロナウイルスと結びつけている本もあります。
日本は世界の雛形であるというスピリチュアル
平田を源流とした、古代の神話を根拠として日本を優位に置く潮流にはかなり強烈なものもあり、日本の歴史が数億万年に及び、高度な超古代文明により天皇が世界に君臨していたとする『竹内文書』や酒井勝軍(さかいかつとき)によるピラミッド日本起源論、木村鷹太郎(きむらたかたろう)による外八洲(そとやしま)史観、出口王仁三郎による日本雛形論などが生まれました。
外八洲史観とは、古事記に登場する淡島はアフリカ、新羅はイタリア、富士は東ヒマラヤといった具合に日本ではなく世界の地理であり、ユダヤ教は記紀神話を基につくられたというものです。
また、日本雛形論とは北海道は北米大陸、本州はユーラシア大陸、四国はオーストラリア大陸、九州はアフリカ大陸、台湾は南米大陸に対応しており、日本は世界の雛形であるという説です。
現在のスピリチュアルで見られる、「地球は宇宙の雛形説」はこの日本雛形論を発展させたものと考えられます。この潮流を取り込んだスピリチュアルに見られるのは、「太古の智慧にすごいパワーが秘められているのではないか」という期待です。
これはホゼ・アグエイアスの「マヤ文明にすごいパワーが秘められているのではないか」という発想と共通しており、カウンターカルチャーから続く反近代志向を持つスピリチュアルは、今とは違う時代、すなわち古代への憧れを持っているのです。